表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

神権争い


「ねぇ! やっぱり無理だって! ラスドーさん助けてょぉぉぉぉぉ」

「勇者様ぁぁぁぁぁぁ!!! 逃げないでくださぁぁぁい!」


 あれは一体……何が起きてるニャ? 魔王様から冒険者となって人族の街を調べて来いって言われたタイミングで勇者のパーティーメンバーの募集を見つけて来たものの


「無理ですぅぅぅぅ! 死んじゃう! 死んじゃうってばぁ!」

「勇者様の防御力なら大丈夫ですからぁ! その聖剣を一振するだけですからぁ!」


 アレ……本当に勇者なのか? 私驚きすぎてびっくりしてるニャ……


 ってそんなことしてる場合じゃないニャ! パーティーへの招待っと


〜 冒険者 ハイネルからパーティーへの招待が届いています 〜


「わぁぁぁぁぁぁ!? ナニコレっ! なにこれラスドーさぁぁぁぁぁぁん!」

「勇者様ぁぁぁぁぁ! 落ち着いてくださぁぁぁい! それはパーティーへの招待ですぅぅぅぅぅ!!!」


 騒がしいニャ……私は耳がいいんだニャ……ツラいにゃ


〜〜〜数分後〜〜〜


「ハァ……ハァ……んっんん! えーっと……ハイネルさん、でよろしかったですかね? 私は近衛騎士団、団長のラスドーと申します」

「はいニャ……さっきから名前は嫌という程聞かされたので知ってますニャ」

「そしてこちらが」

「勇者です! ヨロシクね! ハイネルちゃん!」


 コイツ……嫌いニャ。うるさいし鈍臭いし弱いし……こんなのが勇者? ふざけないで欲しいニャ。こんな奴が……魔王様を倒そうって言ってるだけで反吐が出るニャ


「よろしくニャ……その……勇者様?」

「うん! よろしくねぇ〜!」


 その能天気な顔も腹が立つニャ。仮にも勇者なのだからもっと勇ましくしておけニャ。そんなだからイージーしか選べないんだニャ。


「それではパーティメンバーも揃いましたし、魔獣狩りに行きましょうか!」

「そうね! ラスドーさん!」


 私……これからこのパーティーに入るニャ? 嫌な予感しかしないニャ……


〜〜〜〜〜〜


「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「勇者様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ニャっ!? こっちに来るニャぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 魔獣狩りに出発したハイネル達パーティー、その道中はそれはそれは愉快な……愉快な? 旅路であった。


「ナニアレ! ナニアレナニアレ!? やばいんですけどぉぉぉ!!!」

「勇者様! 落ち着いて! 今はパーティーを組んでいますからッ! ちょっ!? 勇者様!? どこに行くんですかッ!」

「嫌よ! なにあの凶悪なバケモノ! 無理なんですけど! あれに勝つとか絶対無理なんですけどぉ!?」


 はぁ……魔獣の中でも魔物に近い下位魔獣相手に逃げ回るにゃんて。本当に勇者? 勇者なら破魔の力で魔の者に補正がかかるはずニャ……それなのに


「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ!? 助けてッ! ラスドーさん! ハイネルちゃぁぁぁん!!!」

「ちょっ!? 勇者様!? 魔獣を引き連れて逃げないでください!」

「待つニャ〜! そんなに遠くに行かれちゃうとニャーの攻撃も当たらないニャー!」


〜〜〜〜〜〜


「ちょっ!? 今度は何よぉぉぉぉ!!!」

「落ち着いてください勇者様! アレはほとんど攻撃をしてこない魔獣です! 慌てずに攻撃を」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!! 気持ち悪いッ! 虫嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「あっ!? 勇者様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「またなのニャ……」


〜〜〜〜〜〜


「うっぐ……ひっぐ……うわぁぁぁぁぁん!!!」

「ちょっと……勇者様? 私の服で拭くのやめてニャ……汚いニャ」

「酷いっ! ハイネルちゃん酷いよっ!」

「酷くないニャ……至極真っ当なのニャ」


 本当に酷い目にあったのニャ……勇者のくせにまともにスキルも使えないし、味方に向かって敵引き連れてくるし、挙句私の服で顔を拭く始末……段々勇者が勇者じゃなく見えてきてるニャ。


〜〜〜〜〜〜


 なんなのだ……何故勇者がこんなに弱いのだ! 勇者だぞ!? クソ……ワレが呼び寄せた勇者はここまで弱かったのか!……これでは


「何をそんなに慌てているんだい? 光神サマ?」

「ハッ! 何しに来た闇神!」

「いや何……あなたの呼んだ勇者様(笑)があまりにも滑稽でなぁ?」

「ぐぬぬ」

「おやおやぁ? いつもなら噛み付いてくる光神サマが……まさかの黙り込んじゃったねぇ? クックック、ハァーッハッハッハ!!! それもそうだろう! 何せボクの呼んだ魔王は素質があった! アナタの所の勇者とは比べ物にならない程のね! ハァーッハッハッハ!!!」


 コイツの言う通りだ。ワレが呼び出した勇者は余りにも……弱すぎた。それに比べあの魔王は、この短期間の内に魔王軍内の勢力を纏めあげる実力者だ……だが!


「そんなことを言っていられるのも今のうちさ……闇神」

「ハーッ……は? ナニナニ? もしかしてあの勇者でこのボクの魔王と戦うつもり? やめておきなよ! アナタ、次の神権争いで下位を取ると……神権、剥奪されるんだよ? よぉく考えた方が良いと思うけどなぁ? クッ……クク……クァーハッハッハ!!!」


 耳障りな笑い声だ。だが……今にその笑い声を悲鳴に変えてやるさ……ワレは光神、原初の神の力を強く引くものなのだから!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ