シン・デレラ
硝子の靴の片方を落としてしまった不幸な少女。王子さまは無事、その硝子の靴の持ち主である少女にたどり着けるのか?
王子がガラスの靴の持ち主を探してると言う噂が村に流れました。それを聞いた義姉たちが何故かはしゃいでいるのを見ていたシン・デレラは、
「なんでお前らが喜んでんねん。わしが履いてた靴やのにお前らなわけ無いやろ。ぼけ!」と心の中で思いました。(あー、とっととわしを見つけてくれや、王子さま。)と思い、シン・デレラの心はUKIUKIWAKUWAKUです。けれど、待てども待てども王子様はシン・デレラの村にはやって来ませんでした。シン・デレラは、(何しとんねん、あのボン○ラ王子は!チャッチャッとせーや、こんなにオーラ出てる人間、わししかおらんやろ!)と思いながら、ストレスで過食してしまい、それも盗み食いで、だいぶ太ってしまいました。
そうこうしてるあいだに1年が経ちました。そしてとうとう待ちに待った王子様が従者を引き連れ村にやってくるとの噂が流れました。しばらくして王子が従者を引き連れ村に現れました。王子は執事に言いました。
「おい、ハゲじぃ!こんなきったない村にホンマにおんのか?もしおってもあかんやろ?さすがに。」執事は言います。
「ハゲてはおりません、決して!それに今の世の中、滅多のことを言ってはなりません。ポリコレとかいろいろありますから。」
「おい、ハゲじぃ。意味知ってていうとんのか?」
「王子、くどいようですか私、決してハゲてはおりません、断じて。」と執事は被っていた兜を脱ぎました。
「見せんでいいねん。そのくだりはもうええって。はよ、チャッチャとやっつけよ。」そして王子様の従者の一人が村の娘一人ひとりに靴を履かせていきました。もちろん姉たちも含め誰も履くことはできませんでした。そして姉たちが履けなくて悔しがるなか、(お前らの靴ちゃうってなんべんも言うてるやろ!分かっとんのになんで履こうとするねん、アホちゃうか!)と思いながら、自分の番がとうとう来ました。しかし従者がシン・デレラに丁寧にいいました。
「おんどれは履かんでえーわ。」これを不思議に思ったシン・デレラはやんわりと、
「なんでやねん!わしにも履かせろや!それとも何か?わしが汚いカッコしてるから差別してるんか?なめとったらいてこますぞ!」と従者に詰め寄ります。その物言いに腹を立てた従者はすぐさま言い返します。
「われ、自分で鏡見たことないんか?われの体型でこの小さいサイズの靴が履けるわけないやろ。やるだけ無駄やねん、考えたら分かるやろ、カス!小さい工場で一日の生産終わって使ってた機械洗い終わってからずっーとずーっと水巻いてるおっさんほど暇ちゃうねん。あさって来いや!」シン・デレラはそれでも日頃から鍛えたど根性でその従者に食らいつきます。
「待てや、履いてみなわからんやろーが、ちょっと貸してみー。」と、その靴を奪います。従者は、
「何すんねん!このデ○!」とシン・デレラの行為をやんわり非難します。シン・デレラは、
「誰に言うとんねん、おっさん!」
「お前以外誰がおんねん!」と従者も黙っていません。それでもシン・デレラはその隙に靴を履こうとします。ところが、何と言うことでしょう。あの、自分が履いていたはずの靴がまったく入りません。ここで、王子様が馬上からやさしく仰っしゃられました。
「誰が見てもお前が履かれへんのは分かっとんねん。何の余興やねん!どっかのしょーもない城の忘年会とちゃうぞ!はよ、どっかいねや!」と仰せになりました。シン・デレラは、王子様に丁寧に説明しました。
「ちょと待てや、にぃちゃん!今日はちょと足がむくんでるだけやねん。もう少しで履けるから大人しく待っとけや!」と言いながら無理やり履こうとします。グイグイ、グイグイ。ところで、ガラスの靴は硬いですよね?そう、シン・デレラの足は無理やり履こうとしたおかげで血だらけになりました。それでもめげずに健気なシン・デレラはなんとかガラスの靴を履くことに成功し、得意げに王子様に申し上げます。
「みてみろや、履けたやんけ。これでこの靴の持ち主がわしやって分かってくれたやろ。」ところが、王子様は首を左右に振ります。
「何言うとんねん、われ!我慢大会やっとるんとちゃうねん!血だらけで靴履くバカを誰が認めんねん、ボケ!アホくさ。その靴、汚いからお前にやるから好きにしろや。おい、もう帰んぞ、はよ帰らなオカンに怒られるからな。今日はみんなで揃うて焼肉するから絶対遅れるなって言われとんねん、わし。お前ら走って着いて来いよ。チンタラしてるやつはおいてくからな。ちなみに俺が城に着いたら門、閉めるから、きばれや。行くぞ!」と、言いながら馬を走らせました。従者は、
「何言うとんねん、このクソガキ!馬に走って追いつくわけ無いやろ!だから、ボ○クラって言われとんねん。お前が王子じゃなかったら、今ごろ、みんなで☓☓☓(捕まえ)て☓☓☓☓☓(羽交い締め)してから☓☓☓☓に☓をつっこんで○ー○ーいわしたるとこやぞ!クソ親父に感謝しろ、アホンダラ!」と、言うわけにもいかず、王子様の後を必死の形相で追いかけました。残されたシン・デレラはただ、ボー然と立ちつくすばかりでした。
おしまい
「この作品はフィクションでパロディです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。」
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