第三話 緑色の津波 第三者目線から〜
第三話です。
今回は前話の戦闘者目線です。
ー祖父、ザクセン視点ー
12月20日、ついにゴブリンどもと戦闘が始まった。
わしの場合は、後方の小高い丘の上に陣を置く作戦本部にいたからゴブリンの大群を一望できた。例えるなら、地面を埋め尽くす緑色の「津波」だ。
先鋒が既に飲み込まれていた。前線に銃部隊が並べられている。ある勇者の意見から柵を設け、銃持ちを5人並ばせて交代で撃つのだ。銃は次撃つのに30秒ほどかかるが、これにより5秒ほどで次が打てるのだ。
前線にもうすぐでぶつかるところで、すかさず魔法士部隊に攻撃を指示し、後方を攻撃させる。
だがしかし、ゴブリンの大群は無停止で突っ込んでくる。上からも航空魔道士が攻撃を仕掛け、前方は肉弾戦と銃撃戦、側面から騎馬による側面攻撃、後方と上空から魔法と弓矢による攻撃を行っているのに一行に止まる勢いはない、、、
戦闘はついに夜戦に突入した。まだ1日目だ。既に前線は崩壊寸前であり、この場にいる全員が死力を尽くして戦っている。
そんなとき、前線で爆発のようなものが起きた。銃や魔法による攻撃と比にならないぐらいの爆発。
そうか、英雄「片目の悪魔」だと確信した。
皆が歓喜を上げた。士気が最高潮になり、一斉攻撃を仕掛ける。
ここで、ようやくゴブリンの大群が一度引いた、、、
ー叔父、リューゲンと叔母、プロイセ目線ー
、、、、、、
戦闘初日、もうすぐ前線にゴブリンたちが到達しそうだというときに、親父からの命令で、魔法による攻撃を開始した。ただ黙々と魔法による攻撃を仕掛ける。上空からも魔導師が攻撃を仕掛ける。大体は初級、中級を使うが、たまに上級や王級の魔法を使う。そうしなければ、すぐに魔力が尽きるからだ。
魔力が尽きる、もしくは尽きかけると、交代要因と交代して休憩に入る。休憩中や、魔法を撃った後は、皆ポーションをガブ飲みしている。これで、少しは魔力が回復する。事実、魔法を使える人材がほとんどいないので、ここにいる500人ちょいと上空の特設魔導士130人がここにいる魔法を使える人材の全てだ。
はっきり言って全く足りないのだが、仕方ない。事実、魔法を使える人材がそもそも少なく、教育もあまり進んでいないからだ。
ああ、もっと魔法士が欲しい、、、
夜戦になると、もはや地獄だ。
敵味方がわからず、魔法が使えない。そのため前線の剣士や銃士が昼戦よりも戦わなくてはならない。
自分達魔法士がどれだけ無力か思い知っている。
そんな時、前線で大きな爆発が起きた。中央から派遣された、「片目の悪魔」率いる魔法士中隊(18人)だとすぐにわかった。別行動で、何をしていたのかわからないが、ようやく動いたようだ。
やはり火力が違う。あたり一面のゴブリンが吹き飛んだ。
周りの魔法士たちはただ呆気にとらわれていた、、、
ー父、リューベルク目線ー
戦闘が始まり、銃士たちがゴブリンの大群に対して銃撃を加えている頃、俺の率いる騎馬隊は、右翼の側面に回り込んで、攻撃の機会を窺っていた。左翼の側面にも、志願兵や民兵による攻撃隊(歩兵)が様子を窺っていた。
俺は貴族の家に生まれた。しかし、魔法が使えなかった。
家族は皆、「軍人」だ。
自分のできることを探して見つけたのが剣の道だった。 剣しか俺には道がなかった。
親父の執事が武の心得があったから、剣のイロハを叩き込んでもらい、今では周りからも一目置かれる剣士になった、、、
今では騎馬隊の隊長を務めて、数々の試練を乗り越えた歴戦の猛者のはずだった、
反対側ぼ混成部隊がいつのまにかゴブリンの大群に包囲されていたのだ。
すかさず騎馬隊で側面を攻撃する。すぐに突破して敵中を突撃する。
しかし、目の前に明らかに違うモンスターがいた。
「ゴブリン・ロード」だ。
一方的に攻撃され、部隊は立ち往生。
結果、包囲されて全面から攻撃されることになり、部隊の3分の1が死傷する大損害を受けた。俺の昔からの部下が次々と死んでしまった。
包囲されて、5時間経ち、夜戦になると、頼みの綱である魔法士たちの援護射撃はなくなり、全滅するかと思っていたその時、ゴブリンの大群の後方が大規模な爆発に巻き込まれていた、、、
結果的にいうと、戦闘は2日で終わった。例年なら10日以上はかかる戦闘が、2日だ。あまりに異常な速さである。
理由は説明することほどでもなく、後方への大規模な魔法による攻撃で、ゴブリンたちが潰走。
2日目はそれを追撃するだけという単調なものになっていたからだ。
ちなみに騎馬隊は、追撃戦で一番多くゴブリンを殺しまくっていた。
この戦いは後に「ゴブリン戦争のクリスマスプレゼント」と呼ばれるようになったのは、後の話、、、
そして、この戦いで活躍した「片目の悪魔」が登場するのは、また今度、、、、、、
どうも投稿が遅れてしまいました。面目ない、、、
この話に出てきた「片目の悪魔」はまたおいおい登場する予定です。(多分後半あたりかな?)
次回は遅くても日曜日までには投稿予定です。
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