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第二話 緑色の津波

お待たせしました。

第二話はゴブリン戦争です。

激励会が終わり、冬、、、


もうすぐクリスマスだというのに街は暗い感じになっている。

「冬」 それはこの地域では魔の季節と呼ばれ、恐れられている。

毎年この時期になると、街の男性の約3分の1は徴兵、もしくは志願兵として戦いに行くのだ。

何と戦うかというと、「ゴブリン」だ。

北部の半島にいつもは生息しているのだが、この時期になると、南下を開始。この国に攻めてくるそう。

俺の家族の軍に所属している人は、みんな最近帰ってきていない。

大丈夫だろうか、、、、、、




もう12月だ。

流石に寒くなってきた。

ちなみにうちの家や本家の本邸には暖炉がある。薪を使って温めるやつ。俺、本物初めて見たかもしれない。

もちろん、俺は暖炉に近づけられない。

メイド達が準備をしているときに、近づこうとしたが、


「あぶない、そっちはダメ!」


と、親に連れ戻された。

今は本邸にいるので、従兄弟のシュトラの膝に乗って抱き締められながら、暖炉に温まっている。

たまに、


「赤ちゃんあったか〜」


とシュトラが言っているのが聞こえる。まあ、赤ちゃんってあったかいもんな。

ちなみに最近はほとんどほとんど二人で暖まりながら寝ている。

気づくと、ソファーに移動させられているのが、オチだ。


話は変わるが、この世界にもクリスマスはあるようだ。

リビングの片隅に、大きなクリスマスツリーが置かれている。

クリスマスは確かキリストの誕生日だったような。

ここの世界にキリスト教は、、そういえばあったな。


生まれてすぐに、教会のような場所に行って、洗礼みたいなのを受けたのを思い出した。


何か聞こうにも、声帯がまだ発達していないので、泣くか笑うぐらいしかできないのだ。話せても、


「ママ、パパ、」


ぐらいだ。

今まで集めた情報は、全部家族とかからの会話から分かったことだけだからな。早く話せるようにならないかなぁ。


そんな時、軍の伝令係っぽい人がうちに来て、


「奥様方、先鋒がゴブリンの軍団に当たったもようです。少なくとも、家からは出ないようにしておいてください。」


「え?」

突然の出来事だった。




あれから数日が経った。


今日はクリスマスイブ。

子供は待ちに待った日かもしれないが、この家の大人はみんな暗い顔をしていた。


唯一、シュトラは俺と遊んでいたのだが、それを見て、周りの大人たちは表情が和らいでいた。少なくとも、本人は全く気づいていないだろう。


そんな時、


「ううっ、、」


叔母のホアセンスが倒れた。陣痛だ。

急いでメイドたちが出産の準備をしている。

シュトラは何が起こったのかわかっていない様子で、キョロキョロしていた。


街の助産師も呼び、メイドたちの協力もあり、無事に産まれた。

ちなみに俺とシュトラは出産を見せてもらえなかった。まあ、あまり子供に見せるものではないからな。

元気な男の子だ。名前はまだ決めていない。

名前は夫のリューゲンに決めてもらうそうだ。いつ帰ってくるかわからないけど、、、




時間が過ぎて、だんだんと太陽が沈んでいき、そろそろ夜になるころ、


「ダン、ダン、、バンッ!」

扉が壊れそうな音の後に勢いよく開く音がして、


「今帰ったぞ!」

おじいさんの大声で家じゅうの大人達の顔が笑顔、ほっとした顔になっていた。シュトラが俺を置いて、おじいさんに抱きついていった。おじいさん、満更でもなさそうな顔をしていた。

ついでに俺とシュトラを一緒に抱っこしてくれた。

後ろには俺の父親やシュトラのお父さんも一緒だ。おばさんもいた。あの人、一緒に戦場に行ってたんだな、知らなかった、、、

ちなみに俺の父親が壊れたドアを持たされていた。やっぱりこのおじいさん、ドア破壊してたな。

おかげで家の中が寒くなりました。(物理的に)

おばさんや、俺とシュトラのお母さんにバシバシ叩かれて、魔法で石製の重いドアが作られていました。


ともかく、クリスマスイブに家族全員がそろうことができた。特に子供が一名増えて戦場帰りの皆さんはテンションがおかしかった。

出産に間に合わなかったリューゲンは少し残念がっていたが、、、


クリスマスパーティーが始まると、俺とシュトラはソファーでくつろいでいた。

俺はまだ離乳を始めて、三か月も経っていないので離乳食だ。メイドに食べさせてもらっている。

シュトラも食べさせてもらっている。

こちらは普通の料理だ。

俺だってそっちの料理が食べたいのだが、、、


ちなみに大人達はダイニングで立って食事をしている。いわゆる立食形式というやつだろうか。おじいさんや俺の父親、おじさんの部下や上司のような人十数人も参加しているので、とても賑やかだった。

この人数の料理は想定していなかったようで、奥で料理人がずっと料理を作っていた。大変だっただろうなぁ。

一応俺とシュトラも他の人達とあいさつをしたのだが、戦場から帰ってきたばかりだからなのか、抱っこされたとき、汗臭かったのを覚えている。


ちなみに赤ちゃんはみんなに抱っこされていた。そんなときに、リューゲンが、


「オットー、この子の名前はオットーにしよう!」

こうして赤ん坊の名前がなんか決まっていた。ちなみに名前の由来は、先の戦いで亡くなった戦友の名前だそうだ。なんか悲しくなるなぁ、、、


時には戦場の話が聞こえて、


「前線が崩壊しそうなときに魔法師たちのおかげでなんとか持ちこたえれたわぁ、」

「周りをゴブリンたちに囲まれた時は死ぬかと思ったわ。」

など、たのしく戦闘の話をしているときもあれば、


「あの時、俺の攻撃が早ければ、、、」

「あと一歩早ければ、、」


など、涙を流して思い出を語っているときもあった。きっと仲間を失ったんだろう、、

確かこのあたりは軍の他に民兵に参加している人たちもいたはずだから、、、

俺の家は運がよかったのだろう、、、


パーティーも終わり、片付けをメイド達がしている頃、久しぶりに家族だんらんの時間ができた。

人の暖かみがどれほど大事かわかった気がする。


その日は、いつもよりぐっすり眠れた、、、、、、


※ゴブリン戦争


ゴブリン戦争とは、冬季にゴブリンの集団が我が国に侵攻してくる戦闘のことを指す。ゴブリン冬戦争とも言われる。攻めてくる理由としては冬季に備え、個体を減らすことが目的だと言われている。

俗に言う人海戦術という津波のような数による攻撃を仕掛けてくる。ジークとその家族が住む街はその前線近くの都市であり、北部地区総司令部および北部地区軍宿舎などが置かれている。

毎年12月頃に襲ってくる習性がありこの頃は毎年民兵組織が多数作られ、軍と共に戦闘に参加している。

特に第17民兵師団は最前線の街の住民で構成されており、毎年多くの戦果を挙げている。しかし、損害も多く、損耗率300パーセントという部隊が3回文字通り全滅するような被害が出た年もある程である。

また、毎年戦闘が起きるので、国は最新の兵器を多く北部に配備しており、少しずつだが、死者は少なってきている。

ちなみに他の州よりも出生率がかなり高く、これは戦争でいつ死ぬか分からないので、子供を多く作る家系が多いからである。


師団とは……軍の編成の単位で、この国では一師団あたり一万人規模です。


第二話でした。

前作の緑色の津波のリメイク版ですね。

そういえば最近ロシア軍の予備役が動員されていますね、彼らの場合は意味がわからずに戦場に送られていますが、本作に出てくる志願兵や徴兵された人たちは自分の国や家族を守るために戦っているので、かなり士気が高いそうです。

ウクライナ侵攻早く終わらないだろうか、、、


次回はゴブリン戦争の別視点を書こうかな?

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