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レオ、学校に通う準備する


パパラチアがやってきたことで俺の出来る事が増えた。

それにより俺も学校に通うことを許可されたのである。


といっても学校はエバンとジョンと同じ年からなのだがパパラチアが来るまでは俺は通信教育にする予定だったのだ。

ずっとエバンとジョンに俺の事を頼むわけにいかないからな。

二人はそれぐらいどうってことないと言ってくれたが俺が気にするのだ。


まぁ学校に通うと行っても俺は普通の子達の様に動けないから体育は難しいだろうけどな。

でも俺の様に幼い体の子供は稀だがこの星にはいるらしくて教育する際に問題ない様にと国が考えてくれているという。


なので俺は学校に通うことになった。

といってもまだ先の話なので準備しながら楽しみにしてなさいって話なんだがその学校には礼服を着る機会があるらしくて個人での用意らしい。


その礼服を明日デパートで次入学する全員分用意する事になった。

ちなみに費用等は孤児院が国に出してもらうそうで、所謂国から子供達への祝い金のような扱いなのだとか…まぁこれはパパラチアが教えてくれたんだがな。


明日の予定が決まった俺はいつもの通りレイヴン爺さんの所でゲームしてたんだが…実はもうほぼ全クリしてしまったんだよなぁ。

定期的に新しい戦場やルールでの戦闘はあるから全部とは言えないがやりこみで縛りをつけてバトルしたり戦術の試しも何度も行ったがちょっとマンネリになってきた。


「なぁなぁ、レイヴン爺さん…これってもうこれだけだよなぁ…」

「うん?どうした?」

「ほぼやることやっちゃったから少しマンネリになった…」

「…なんだって?」


レイヴン爺さんは俺の手を取ると記録を見せておくれと言ったので記録ページに飛べばおやおやと小さく驚いた声を上げた。

流石にやりこみすぎただろうか…?


「驚いたのう、もうこんなにしてたのか」

「いろんな戦艦も試したし戦術も試したけど…ほとんどクリアしちゃったから…」

「…この少数精鋭での戦線維持はどうやった?」


俺はレイヴン爺さんに聞かれたのでこれは小型戦艦や戦闘機の機動力が高ければ少し無理矢理だが敵を翻弄し、時には敵同士で潰すことも出来ると答えれば次々と聞かれた。

爺さんもやっぱりこのゲームプレイしてるから気になるのかな?


「ここまでとはな…」

「爺さん?」

「…すまないなレオ、このゲームは今はこのバージョンまででなぁ、また新しいバージョン更新が来たら教えるよ」


俺はそれに楽しみにしてると返し、お茶と菓子を持ってきてくれたイーグル爺さんとお茶をすることにした。

ちなみにレイヴン爺さんは電話をするらしくて部屋を出てった。

あ、このお茶菓子のクッキーはステラ婆さんのやつだ。








「あぁ、至急頼むよ…データを見ただろうが『小さなダイヤ』はすでに全ステージをクリアし、大型戦艦の艦長レベルまで行ってしまっているんだ」

≪それだけではありません…この戦闘記録は実践でも十分な程です…本当にまだ7歳の子供の記録なのですか?≫

「写真を送っただろう?赤ん坊のような容姿だがあの子の頭脳は素晴らしく、これから成長が楽しみなんだ」


レイヴンは電話相手の反応に仕方ないと思いつつも笑みを深める。

今この時代において最も欲しい才能の持ち主を思い浮かべつつも『小さなダイヤ』と称した幼子にある今後の枷を何とかするためなら地位をフル活用してやると思案するレイヴンは元提督であり冷徹のウレキサキトと呼ばれた軍人時代の彼に戻っていた。






イーグル爺さんとお茶してたらレイヴン爺さんが戻ってきた。

爺さんも軍の人だったらしいし司令官クラスの人は時たまこうやって電話が来てる事がよくあるから爺さんもそうなのだろう。


レイヴン爺さんはお茶よりコーヒー派なのでパパラチアが準備しているとそういえばもうすぐ学校の準備かとイーグル爺さんが話をしだした。


「俺も今年のシーズンから行くんだ」

「そうかもうそんな年かぁ、レオの場合はパパラチアも一緒なのかな?」

「うん、サポートしてもらう」


イーグル爺さんと俺の会話にレイヴン爺さんがそういえばとまた話し出した。


「昔はなかったが今の学校にはAIが事務員でいるんだぞ」

「AI事務員?」

「あぁ、各生徒の情報管理や各イベントの進行、データのまとめ等色々してるらしい…本当に目まぐるしく時代はかわるものだなぁ」


コーヒーを持ってきたパパラチアからコーヒーを受け取るとイーグル爺さんは俺を見てもう準備はしたのかい?と聞いてきた。


「明日デパートに行って礼服の準備するんだ、俺は寸法して服とか発注してもらうんだって、俺のは特製の物になるから…」

「そうか…、よし少し待ってなさい」


イーグル爺さんはそういって立ち上がると部屋の自分のキャビネットの引き出しから小さな箱を出してきた。

それを俺の前に置いて開けるとブローチが入っていた。

黄色で綺麗な楕円の形の宝石のブローチは明らかに高いと分かるそれに俺はひくりと口がひきつる。


「レオに僕からプレゼントしよう、学校の制服は指定がないけども代わりに学校のスカーフだけは必ずつける事になるからこれでとめなさい」

「イーグル爺さん、これ高いやつだろこれ!俺でもわかるぞ!もらえないよ!」


パパラチアが推定30万程でしょうかと丁寧に補足してきたけど今はやめて!!もっとダメだろ!!

俺が断固拒否!と首を横に振っていればイーグル爺さんは俺の隣に来ると目を合わせるようにかがむ。

爺さんのヘーゼル色の目が俺を射抜くみたいで少し怖かったけどでも真面目な話みたいだから俺は目を離せなかった。


「入学祝だよ」

「子供にこんな高価なの駄目だろ」

「レオ、これは僕からの願掛けでもあるんだよ」


願掛け?高価な物をあげることが?

そんな俺の考えを見抜くようにイーグル爺さんは俺の頭を撫でた。


「昔からね、軍人を退役した者から物をもらうと危険なことからも生き長らえるといって縁起物として物をあげる風習があるんだよ」

「生き長らえる…物騒だ」

「ははっ、今は戦時中だからね…だから君が進む道になにがあってもこのブローチが守ってくれるよ、君を絶対に生かしてくれる」


だから受け取っておくれというイーグル爺さんの目は真剣で、俺はそんな目をされたら断り切れないので頷いてしまう。

するとイーグル爺さんは優しく笑って俺の手にブローチが入った箱を乗せた。


レイヴン爺さんは黙ってみていたが俺に受け取りなさいという。


「昔からの風習なのは本当じゃよ、退役した軍人は運がいいと言われていてその運を分けてもらうというものだ」

「そう、だからレオに貰ってほしいんだ…お願いだレオ」


なんで貰うのは俺のほうなのに爺さんがお願いなんて言うんだよ…。

でも懇願するような爺さんの目に俺は断れなくて頷けばイーグル爺さんは俺を抱きしめて良かったぁなんて嬉しそうに笑ってた。


なんでそこまでして俺に渡そうとしたのかはわからないけども、これは俺が大事に保管していよう。

大きくなって大人の年になったらつけようと思う。






イーグル爺さんからブローチをもらった翌日俺は施設の人達やジョンとエバンと一緒にデパートに来ていた。

俺とジョンとエバンの学校で着る礼服を買うためだ。俺は採寸と発注だけどな。


今日はパパラチアではなくエバンに抱かれデパートにいる。

歩こうとしたら人が多いと抱き上げられ、また久々に俺を抱っこして歩きたいとエバンが言ったからである。

最近はパパラチアに頼んでたからな。


「何だか重くなって…ないな、軽い」

「このヤロウ…俺がチビのままだというのか」

「俺らからみてもチビだよ、エバンは背が伸びたから軽く感じるんじゃね?」

「伸び盛りか…俺は学校行ってる間に15cmは伸びてほしいな」


せめて走りまわりたいという俺に切実な願いと思われたのか二人はいたわるように頭を撫でるがこれは俺の小さな願いだ。

この障害を持つ大人の背の平均が110~120cmなのでせめて110㎝は欲しいのだ。


「しかし、子供用品に礼服がないとは…」

「普通赤ちゃんは礼服は着ないぞ」

「レオはたまにボケなのか素なのかわからない事をいうよね…」


俺がボケを挟んで遊んでる間にパパラチアが売り場のロボットからオーダーメイドのカタログをもらってきたらしく俺らはそれを覗いた。

やはり未来故にカタログも電子端末だ…にしても種類が多いな。


「布だけですごい数だ…」

「身長については制限も特にはないしな…どんなのがいいんだ?」

「…蛍光色は嫌だ」


カタログに載ってるのは布の種類や礼服の形、装飾等細かくある。

見本としてある画像の蛍光色なイエローなスーツは俺は着たくないと言えば二人も俺らもだよと苦笑された。


パパラチアも店員ロボットも何だか苦笑しているような気がして、俺はこの多い種類からどう絞ろうかと店員ロボットに流行りや俺が行くことになっている学校の指定はあるか等聞いた。


≪皆様が通われるご予定のスクールには礼服に関して規定は特にはありません、がやはり蛍光色は避ける方が多いです≫

「だろうな…」


そりゃそうだと俺らが思う中で店員ロボットは何か検索したのかある画像を表示した。

青みがかった黒で少し軍服のようなデザインが装飾が入っているがあまり堅苦しくなさそうな服だ。


≪こちらはどうでしょうか?最近の流行りであるミリタリー風でありながら礼服として問題のないデザインです、また動きを妨げにくいのも特徴です≫


ほう!これは悪くないな。

エバンもジョンもいいじゃんこれ!と太鼓判を押すし、パパラチアもうんうんと頷くのでこれにしようかな。

エバン達の服を購入していた施設の人達にも見せればいいんじゃないかとニコニコ顔で言われたので問題はないだろう。


「これにする」

≪はい、では採寸と発注を行います≫


そのあと店員ロボットに採寸と発注をしてもらい俺の服もあとは施設に届くのを待つだけになった。

しかし、いい服を買えてよかった。


「ありがとう、店員さんのおかげでいい服買えたよ」

≪…店員なので当然です、お客様に素敵な服を購入してもらえるようにするのが我々の役目ですから≫

≪(あぁこのロボット、今、何を言われたのか分からなくて必死に処理してる…レオ様は息をする様にロボットに声をおかけになるから私達は驚いてしまうのよね)≫


パパラチアが店員ロボットをじっと見てるがどうしたんだ?俺を抱き上げたパパラチアにどうした?と聞けばパパラチアは楽しみですねと声をかけてきた。


≪(これが私のご主人様、優しくて素敵な、ご主人様なんです)≫


なんだかうれしそうだ。

ロボットに嬉しそうとかあるのかと言われたらわからないがなんとなく嬉しそうな気がする。


服を買い終わった俺達に施設の人達が今日はレストランで食事しようかと言ってくれたので喜んで食べると返事する。

レストランで食事は初めてだから楽しみだと言えばパパラチアがそうですねと笑みを返してくれた。


レストランフロアの子供でも食べれる店に入る。

よくあるサイゼ〇アとかジョナ〇ンとかみたいなやつだな。


俺は大きさが大きさなので悲しいが赤ん坊用の椅子を用意してもらう。

仕方ないとはいえ悲しい。エバンとジョンはそんな俺を笑うことはないが心中を察したのか頭を撫でてきたが今は受け入れた。

これは仕方ないことなんだと何度も思いつつな。



俺の背丈のハンデはこれからもついてくるし、パパラチアがいたとしてもこのように子供用の物を使うはめになるのだ。

今のうちに慣れておこう。


俺達はメニューを見てまだオムライスを頼む、なんで三人が同じかというとどうせならオムライスでも違う味を食べ比べようと提案すると二人が乗ってきたのだ。

それに俺の胃袋がそこまで大きくないのもあり、いつも二人は俺の残りも食べてくれるのだ。


そのせいか二人は先に俺が食べたい物があれば聞こうとする。何度か二人が先に注文したり食べたいものを言わせようとしたのだが全て俺の望む物を食べたがるのだ。

この年で気を使わせてしまわせてしまう事に申し訳なかったが二人は俺の体のハンデを考えての事なので俺も強くは言えないんだ。


いつか大人になったら俺の稼ぎで好きな物を奢ってやろうとは思ってるけどな。

今はそれくらいしか考える事が出来ないんだ。


そんなこんなで俺達は味の違うオムライスを食べる。

エバンはオーソドックスなチキンライスにケチャップソース、ジョンはバターライスにケチャップ、俺はチキンライスにデミグラスソースだ。


分け合いながら食べる俺達に周りはなるほどなぁと感心したような目で見てくるけどもレストランの人がにこやかに取り皿を用意してくれたので俺達は食事を楽しんだ。

まぁ俺は途中で腹が膨れて二人に後を託したんだがな…。


腹がパンパンな俺達は大人が食事を終えるの街ながら最近レイブン爺さんが俺様にとお古の端末をくれたのでいつもの宇宙戦じゃなくて三人で協力してやる軍隊レイドというゲームをしてた。

軍隊レイドはプレイヤーが協力して目標の敵軍を倒すゲームなのだがプレイヤースキルもだが軍の動きで頭を使うので俺は好きなゲームの一つだ。


「エバン、西の方角に敵が移動した、恐らく奇襲をしかけてくるからとめてくれ」

「了解」

「ジョンは正面の小隊を倒したらそのまま左の道に抜けられるか?」

「勿論だぜ軍司様」


俺はガンガン行くぜ!なジョンを誘導したり、機動の早いエバンに妨害や奇襲を担当してもらいつつ俺は後方支援をしながら、本陣への道を開ける。

さて、布陣は準備できたな。


「ジョン」

「あぁ、分かってるぜ!」

「エバンは下がって迂回をしてくれ」

「了解、何かするんだね」


ジョンが本陣へ突入するのとエバンの後退の動きを見ながら俺はトラップを発動させる。さて、殲滅といこうか。

俺がトラップを発動させればジョンの後ろに増援が出現し、エバンが相手していた敵が俺のキャラの増援を呼ぶスキルで倒される。

そしてエバンの方に行かせないように道も塞げば俺は前に進む。


エバンはその俺の動きに相変わらずエグイと言いつつも俺を守るように進み始め、敵を屠る。

俺はエバンをサポートしながら進めばジョンから逃げてきた敵と接敵したので共にしとめてゲーム終了だ。


「っし!終わり!」

「相変わらずスキルの使い方がエグイ…そこで増援呼ぶなんて」

「役にたっただろ?」

「お前くらいだよ、その癖のある軍師であそこまで戦えるの…みんなこのキャラ使わないのに…」


俺が使うキャラは能力は平均的だが軍師故にサポート能力特化で固有のスキルで増援というNPCを召喚するスキルを持つのだが…まぁあんまり強くはないとされているキャラだがサポートに回るならこのキャラは使えるんだ。


「能力は使い道次第だ、超接近戦を好むジョンと機動力で敵を翻弄するエバンがいるなら俺は後方に回る方がいいからな」

「そうやってここまで出来る奴は少ないよ」

「てか、大人達まだ食べてら…いや話してるか」

「大人は歓談しながら話すからな、もう一戦するか?」


俺が聞けば二人は少し疲れたと言って首を横に振り、俺の宇宙戦をやるのを見てたいと言った。


「物好きだな、普通ゲームをプレイしたいんじゃないのか?」

「レオの宇宙戦見るの面白いから好きだぞ」

「次の動きとか全然予想できないからな」


そういうもんなのかと思いつつ起動すればなんと新しいヴァージョンにアップデードされてる!

なんていいタイミングだ!早速やろう。


「お、新しい戦場が来てる」

「うわ、難易度も高いな…かそう、帝国軍戦…アゲート?なんだこの名前」

「なんだか今までと違うね、今までは民間救助とか戦線維持とのシンプルな名前だったのに」

「確かにな…まぁとりあえずやるか」


いつものようにまずは様子見なので初期編成を少しいじったやつで挑む。

強化はしてあるから初期の軍艦よりも強いけども、初見でノーミスは少し厳しいかもしれない難易度だ。

敵がかなり強い。


今までのやつと違うんだ。こちらの裏をかこうとする動きをしたかと思えば正面きったり、難しいだろう進路を奇襲するように突っ込んできたり、隠れてたやつが現れたりする。

奇抜すぎる戦法だ。


「なにこれ、全然意味わかんない戦法でくる…」

「れ、レオ…」

「大丈夫、少し時間はかかるが撃破できる」


俺は空母をそれぞれ一つの群れのように小型戦艦と戦場を徘徊するよう動かし、敵をあぶりだしたり進路をつぶして敵を倒していく。

イルカのようにぐるぐると回りながら狩るようにどんどん敵を中央に寄せて一網打尽にすれば勝利画面が出て漸く一息ついた。


「ふう…」

「お疲れ、にしてもいきなり難易度上がりすぎじゃねえか?」

「うん、なんか…誰かの動きを参考にしてるみたいだったね」


確かにエバンの言う通りまるで誰かの戦闘を体験したみたいだった。


「もしかしたら帝国にそんな人がいるのかもな」


俺らがそう話していたらやっと大人達の食事は終わったらしい。

流石に長いんだぜ、とジョンがいえば申し訳なさそうにしたが飯は美味しかったからよしとした。



------------------------


「うそだろ、これを初見でクリアしたのかよ!!」

「ほぼ初期編成だろ、これ…なんで勝てるんだよ…」


アレクサンド星の軍の情報部にある大きな画面にて多くの人間が集まる。

それは情報部でありまた戦場の情報を統括しAIに落とし込んだりなどシステム関連も兼ねている部であった。

そこに映されているのはある()()()()のデータとその戦闘の動画。


「帝国軍のアゲート卿の戦闘を想定したやつを、簡単に撃破した…」


その仮想戦闘は敵国である帝国 カリャリ帝国の名将の一人 アゲート・ギバー卿との戦闘を想定した戦闘データであった。


彼により大型艦隊は20を超える数をつぶされ、彼の奇抜な戦術に負けて多くの損害を出した恐ろしい男。

そんな敵の戦闘は仮想とはいえアレクサンド星軍の多くの軍人が挑み9割は未だに殲滅されているほどに難しいはず…だったのだ。


「なんだこの艦隊の動き、まるでイルカの狩りを見てる気分だ」

「いや、これはイルカだ…アゲート卿が小魚になってしまってるんだ…!」

「仮想AIとはいえアゲート卿を破るなんて…」

「あんな、指示来たら俺動けるかな…」


あるものは恐れを、あるものは目に焼き付けるように見つめ、あるものは興奮するように息を荒げた。

それぞれがこの仮想戦闘の異常さを理解しながらも全員がこのデータに釘付けになっていた。


混乱と興奮にあふれる情報室を見ながら情報部の司令官の一人である男は電話を掛けた。

その目はギラギラと輝き、彼も興奮しているのがわかる。


「レイヴン殿」

≪…私の可愛いダイヤの原石が何かしたかな?≫

「仮想のアゲート卿を撃破しました、一発で」

≪ハハハハハッ!!やっぱりか!≫


笑いごとじゃないと司令官は言いつつもこの結果に笑みを隠し切れない。

まだ一つ目の仮想戦闘で最高の戦果をあげたダイヤの原石であり”小さなダイヤ”。


今回彼用に用意された仮想戦闘には大人の意地の悪さが潜んでいたがこの悪意の一つであるアゲート卿の仮想戦闘を軽々と超えてみせた事実に司令官は電話をしつつも片手間でPCの画面を確認していた。


「彼が通うのは第30地区のジュニアスクールだったな」

≪あぁ、今日デパートに服を買いに行ってたからね…まさかレストランでAIアゲート卿を破るとは思わなかったが…≫

「…このスクールに軍の監視AIを置こう、これで彼を悪意あるものから守ろう」


電話先のレイヴンは随分と過保護なことをするなと言いつつもにんまりと笑みを作っていることを司令官は察して鼻を鳴らした。


「私も彼の活躍には期待しているからね」

≪ははっ、それはいい…では引き続きレオの戦闘訓練は頼むぞ、スカー・エメラルド情報統率部最高司令官殿≫

「了解しましたよ、レイヴン・ウレキサイト元提督閣下殿」



電話が切られたことを確認すると司令官…スカーは一度息を大きく吐くと部下に指示を出す。




「特殊軍兵AI サーフィスアイをダイヤの原石が通うスクールに紛れ込ませてくれ」




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― 新着の感想 ―
戦国一の職人から流れ拝見しました。この作品、面白いんですけど続ける事があればお願いします!
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