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お世話ロボット


宇宙戦を教えて貰ってから一年経ち俺は7歳になった。

あの日からほぼ毎日あの宇宙戦をレイヴン爺さんの所でやらしてもらっている。


そんな俺はまだ体は見た目一歳だが自由に歩けるまでになり最近ではエバンとジョンと庭を散歩も出来るようになったり、老人ホームの歩ける爺さんや婆さん、施設の人が一緒なら施設の近辺なら出歩けるようになった。


今日も近くの公園まで行こうとエバンとジョン、爺さん達の中ではまだまだ元気な方だと自称するサンダーランド爺さんと見守ってくれる施設の人のトムソンさんと歩いていると向かいの方角から軍の制服が見えてサンダーランド爺さんに敬礼する。

サンダーランド爺さんは機械技術の部署にいた軍人で結構偉い人だったらしい。


敬礼を返す軍人の人は俺達を見て優しく微笑んでくれた。

そういえば最近軍の人がこの辺りパトロールしてくれてて治安がかなりいいらしくて婆さん達が嬉しそうにしてたな。


「こんにちわー」

「こんにちわ、今日はお散歩かい?」

「近くの公園まで行くんだ」


軍人の人はそうかそうかと頷くとこの近くでも気を付けてねと言って見回りの仕事に戻った。

その姿をジョンはキラキラとした目で見送った、ジョンの夢は軍に入ることだから憧れだ。

ちなみに俺は今のところ無く、エバンも今は考え中らしい。


「やっぱりかっこいいよなぁ~!」

「おや、ジョンは軍人になりたいのかい?」

「うん!」

「ほうほう、レオやエバンはどうだい?」


元軍人のサンダーランド爺さんがほっほっほっと陽気に笑ってジョンの夢を喜ぶ中で俺達はどうかと聞いた。

まぁジョンが軍人になりたいって言うなら俺らの事も気にはなるよな。


「俺はまだ考え中!」

「エバンなら外交官とか良いかものぉ、お前さんは人の顔や空気を読んで行動するのが上手いからなぁ」

「へぇ外交官か…考えておくよ」


お、エバンが興味出てきたみたいだ。恐らくエバンも近々夢が決まるだろう。

ただ俺は…この体だからなぁ。軍人には厳しい体格だろう。


「俺は無理だよ、この体は大きくなれないから軍人に向かない」

「そんなことないさ、…軍人には確かに力はいる、しかし力だけが軍に必要な訳じゃないんだ」

「でもサンダーランド爺さん、俺みたいな体の軍人はいない…俺はこの体でも働ける仕事を探してそこに勤めてられるように頑張るよ」


俺はこの体でどんな職に就けるかを施設長のカールさんに相談した。ジョンが夢を決めたので俺も考えていると口実も伝えてな。

でも体の構造上俺の体は力仕事は出来ない。

俺の様な者でも雇ってくれる工場での勤務を考えたがカールさんは猛反対で一緒に探そうと力強く言ってくれたのだ。


「俺は地道に探すよ」

「レオ、その年で世知辛いことを言わないでおくれよ…」


トムソンさんは悲しそうに眉を下げてしまい、俺は気にするなと笑うがエバンとジョンもそんなことを言うなと窘める様に静かに叱る。

まぁ俺がトムソンさんの立場なら同じ様に子供が世知辛い事を言えばそう思うだろうしこれは仕方ないだろう。


「………………………」


俺はこの時サンダーランド爺さんが険しい顔をしていたとは知らずに歩いていた。


そんな会話をしてすぐに公園につき俺達は子供らしくかくれんぼをする。

鬼はトムソンさんでサンダーランド爺さんはベンチに座って見守ってくれていた。

俺はすぐに見つかるのも何だか嫌だなぁと思い、俺が隠れられそうな草むらの茂みに身を隠すと決めて草むらの中を進む。


少し遠くからエバンが見つかった声が聞こえ俺はもう少し奥に隠れようと草むらの中を進む。

しかし俺は草むらの中に何かあるのを見つけ、なんだと近づき…俺は悲鳴を上げてしまった。


「ぎゃあああああああ!!」


それは人の形をして横たわっていた。つまり死体の発見である。

俺はそれが分かりSUN値がゴッソリ削れてしまいパニックになった。

だって人が目をかっぴらいて倒れてたら誰が見ても死体だと思うだろうし、誰でも驚くだろう。


「「レオどうし、ああああああああ!!」」


俺の悲鳴を聞いて駆け付けたエバンとジョンが横たわるものに気づき同様に悲鳴を上げた。

トムソンさんもその後ろから現れ顔を青ざめる。

少し遅れてサンダーランド爺さんも駆け付け目を大きく見開いた。


「レオ!早くそれから離れなさい!!け、けいさつ、いや軍の人に!!」

「落ち着きなさいトムソンや、これは人じゃないよ」

「…え?」


人じゃない?え、本当に?とサンダーランド爺さんを見れば草むらをかき分けて俺の近くに来ると人?の腕を持ち上げた。

その腕には機械のようなパーツのつなぎ目があり、遠目では分かりづらいがネジがある。

つまりロボットだ。


「ロボット…?」

「みたいじゃなぁ、しかし表面の破損を見るとに最近捨てたみたいじゃのう…こんな見つかりづらい所に捨てたという事は違法廃棄じゃのう」


わしがまだ軍人じゃったら激おこプンプンとやらじゃったと俺の頭を撫でながら冗談を交えて教えてくれたサンダーランド爺さんは草むらをまたかき分けてロボットの全身を草むらから掘り出した。

それは女性でメイドさんみたいな服を着ているロボットで、先ほどは葉っぱで見えづらかったが顔を見れば目に光はないが可愛らしい顔をしていた。

薄いピンクの目が綺麗なロボットだ。


後ろの三人も人じゃないと分かり安堵するとエバンとジョンは俺のすぐ後ろに来て様子を伺っている。

俺はこんな所に捨てられたロボットが何だか可哀そうに見えてサンダーランド爺さんに聞いてみた。


「このロボット壊れちゃったのか?」

「そうじゃなぁ、見た限り主な原因はエネルギーが切れてるように思えるが少し古い型みたいじゃしのう、詳しいことは中を見ないとわからないなぁ…」

「…直してあげられないか、サンダーランド爺さん」


俺がそういえばちらりと見た後、ニカッと笑顔を向けてくれて携帯を取り出して何処かに連絡をし始めた。

頭を撫でられながら会話を聞けばここにきてほしいといっていた。




数分後、いつも見回りしてくれてる軍人の人が何人か来てこの草むらからロボットを持ち上げて運んでいく。

検査と違法投棄なので調べてしてくれるらしくその後修理もしてくれるそうだ。

俺はロボットが直るかもと聞き、思わずロボットに話しかけてしまった。


「よかったな、直してくれるって」


咄嗟に出てしまった俺はあっと固まるがエバンとジョンは頭を撫で、大人達は優しい温かい目で俺を見ていた。


「レオは優しい子じゃなぁ」

「大丈夫、このロボットは調べたらすぐに元気になるようにするからね」


恥ずかしい!と顔を覆うが軍人の人の優しい視線は感じる。

俺は中身大人なのに!と恥じらう心と俺はまだ子供だから恥ずかしくない!と必死に己を静めようとする俺はとりあえず顔を隠したままにした。


俺がすごく恥ずかしがるのには意味がある。

この星ではもう俺がいた時代よりもかなり近未来な発明がされロボットは当たり前にいるし、人間のもう一つの手のような扱いで大事にはされるがやはり道具扱いされる事が多いらしい。

俺はその中で犬猫に語り掛けるように話したのだからかなり子供っぽいことであり、尚且つエネルギーの切れたロボットには聞こえるはずないのだ。



その日の夜、エバンとジョンは施設の子供達に俺がロボットを助けて優しい言葉をかけてたと報告しており俺はやめろと!!二人の足、正確には膝裏に突撃をかます。

これが二人に物理で止めれる方法と知った俺の必殺技になってる膝カックンアタック(ジョン命名)だ。

うわあああと崩れる二人に子供達は笑い、翌日俺は仕返しとして抱っこ紐で背中に運ばれる俺にとって屈辱の刑 抱っこ紐の刑をされるのであった。


しかし俺の予想とは違い笑われるだけと思いきやかなり褒められ、しばらく施設の中にいるお掃除ロボットや庭の手入れをする庭師ロボット達から頻繁に抱っこされることになる。

ここでは人工知能があるロボットが普及されているので賢く考えるロボット達は壊れているロボットを助けた俺にロボットの恩人なので友好的に接するべき人間だと認識したのかもとサンダーランド爺さんは教えてくれた。


そんなことがあった日から数日経ったある日、俺が施設の庭に作られたハンモックで昼寝してた時の事だった。

春の気候なため日差しは暖かく風も程よく涼しいのでかなり寝心地がいい陽気に俺は昼寝日和と寝かされていたのだが何だか騒がしい。


騒がしい喧騒に俺はまだ赤ん坊の体故睡眠を欲して寝たいと寝返りをしたのだが、その際にずれたブランケットを誰かが掛けなおした。

多分施設の人か隣の老人ホームの爺様か婆様の誰かだろうとそのまま寝入ろうとしたのだがトムソンさんの声が聞こえた。


「そこの人!レオから離れなさい!!」

「いや、あれはロボットだ!でなければ生体センサーがすぐ反応しておるはず!!」


ロボット?と俺が目を開ければここでは見たことないピンクの目のロボットが俺の横にいて俺を覗き込むように見ていた。黒く長い髪をした人間の女性型で黄緑色の落ち着いたワンピースを着ている。

待て、このロボットどっかで見たことあるぞ?


「だ、誰だ…?」

≪私は…メイド型オートマチックロボット 識別番号M-5520と申します≫

「…え?」


俺が聞けばそう微笑みながら俺の手を優しく握り始めた。

そのM-5520というロボットは周囲の騒ぎ等自分には知らないという様に俺をずっと見ていた。

…うん、待てよこの顔どこかで見たような?


綺麗な顔、黒髪で、綺麗なピンクの目…人型のロボット…。

そうだ数日前に見つけたあのロボットだ!!


「まさか数日前に公園で見つけた…ロボットか?」

≪!、はいっ!覚えておいででしたか!≫


確認すればあのロボットだったようだ。

あれから修理されて綺麗になったなぁ!と驚いていればM-5520は嬉しいという様にニコニコとした顔で先ほどから変わらず俺を見ている。


しかしなんでここにいるんだ?


「でもなんでここに、修理されたなら軍事施設にいるはずじゃ」

≪逃げてきました≫

「…はい?」


今なんて言った?

どこから逃げて来たって?


≪貴方にお仕えしたいので逃げて来ました≫

「はぁ!?なんで!?」

≪私の恩人は貴方です、覚えています…私に優しく声をかけてくれた貴方の声を≫


うっとりとした顔を作るM-5520はあの時の事を語ってくれた。


実はロボットにはエネルギー切れになっても目にあるカメラで記録を行えるそうでエネルギー切れからの記録が詳細に残っているらしい。

あそこで倒れていたのはやはり廃棄されたらしい。


M-5520はオスモカ家のメイドロボットだったそうだが最新式のメイドロボットを購入したので要らなくなったが廃棄には金も処理の手間もかかるので無理やりエネルギーを抜かれあの場所に捨てられたそうだ。

そして俺に発見され修理されたのだが俺のかけたあの言葉に感動して生涯の主となって欲しくて軍の修理施設から抜け出して俺のいるこの児童養護施設までやってきたのだそうで…。


いわば俺の元へおしかけメイドになりに来たらしい。


≪私に優しい言葉をかけてくれたのは貴方が初めてでした…奉仕することが使命の私はここまで誰かに仕えたいと思考したのは初めてで、私の中から貴方にお仕えしたいという声がずっと聞こえるのです!≫


何だか熱く語られている。

しかし俺にはどうすればいいのかわからず周りを見れば少し離れた場所から様子を見ている施設の役員や元軍人の爺ちゃん達が目を丸くしており、警備ロボット達は銃を下ろしているどころか完全に武装解除して俺とM-5520の動向を見守っている。


その後ろからいつも警備してくれてる軍人達の他に見慣れぬ軍の制服っぽい人もいた。

何やら携帯で連絡を取っており話している。


≪お願いです、あなたのお傍に…≫

「お、俺はここで世話になってる身だ…俺の一存でここにあなたを置けるか決められない…」


俺がそう申し訳なく言えばM-5520はしょんぼりと少し俯く、まぁここでメイドロボットがいれば多少役人の負担は減るだろうが…一般家庭ならともかくここは児童養護施設施設だからそう簡単には許可は出ない。

何より犬猫ではなくロボットだ。それにロボットを家に置くには少々手続きもいるし、費用もかかる。

修理費に維持費、確かメイドロボット等の一般に普及しているタイプは水素からエネルギーを作るタイプなのでエネルギーの源になる水の代金はかかるがまぁほとんどがコップ一杯で7日動けるので省エネではあるか。


まぁ要するに俺の一存ではい、いいよとは決めれないのである。

どうしたものかと俺が考える中で庭師ロボットの一体であるテミーが近づいてきたのが見えた。


≪レオ、提案があるんだが≫

「テミー?」


テミーは少しM-5520を見ると俺にしゃがんで目を合わせるように人で言うなら目の部分になるライトを俺の高さに合わせた。

農家のおじさんのような服を着たテミーは二つのライトの蓋をぱちぱちと瞬きさせると音声部分から声が聞こえる。少しおじさんっぽいテミーの声はなんだかいつもと違い低く聞こえた。


≪このお嬢さんロボットを君専属に置くのはどうだろうか≫

「なんだって?」

≪君の体はどうしてもサポートがいる、だから彼女に日常的にサポートをしてもらうんだ…私からみてもこのお嬢さんロボットはメイドロボット故にサポートに優れている≫

≪君の今後を考えると私は君に専属をつけるべきだと常々考えていた≫


意外にもテミーは俺の今後の生活を考えていたらしい。

しかしその考えはテミーだけではないようで、テミーの後ろに見える他の庭師ロボットや掃除ロボット達、警備ロボット達もテミーの提案に賛同する様に頷いていた。


どうやらロボット達はこのM-5520を俺のお世話ロボットとして置くのに賛成らしい。

ロボット達がこんなにも分かりやすく意思表示するなんて今まで見たことないから俺もだが周りの人間達は目を丸くしたり驚いた顔をしている。

…一部は興味深そうにしているけど、大体がテミーが提案をしてきたことにもロボット達が総意であると意思表示してきた事にも、M-5520が押しかけてきたのも驚いていた。


今まで聞いたことも見たこともない事なのだ。

ロボットが自分の考えで人間から与えられた使命以外の動きをしたことがだ。



≪どうだろうか、施設長殿≫

「テミー、まさかレオの事をそこまで考えていたなんて驚いたわ…」


遠くで様子を見ていたトルマリン施設長が近くまでやってきた。

いつもは施設の部屋で忙しく書類や電話、PC作業をしているのだが流石にこの騒ぎに来てくれたみたいだ。

俺達を見て頷くとM-5520に視線を向けた。


「M-5520だったかしら、あなたはずっとレオのサポートをする気はあるのかしら?」

≪!、はい!私の体が壊れ、動かなくなるまで末永くお仕えします!≫

「そう…レオ、貴方の体はテミーの言う通りサポートを必要とします、それはこれからも…貴方の為をい思うなら私はこのロボットを貴方の傍に置くのは賛成よ」

「トルマリン施設長…」


トルマリン施設長はにこりと優しく俺に笑うとハンモックから俺を抱き上げてM-5520に手渡した。

M-5520は俺を優しい手つきで受け取って俺をじっと見つめた。


「あなたはまだ子供なんだからそんなに大人な事を考えずに自分の気持ちを伝えなさい、どうしたいのかしら?」


俺はトルマリン施設長にそう問われて考える。

確かに俺には高さや移動の面でサポートが必要になる事が多いし幼年体停止症の人間はほとんとがサポートを受けながら暮らしている。

主に高さや力に関するものなのでサポートなしでも暮らせるがこの近未来な世界には少々暮らしづらい。

働いていてもサポートがないと出来ない仕事もあるのだ。


何より本当に俺でいいのか?優しい言葉をかけたってのは俺からすれば当たり前だし、恐らくロボットに優しい人などいっぱいいるはずだ。


「…本当に俺でいいのか?」

≪あなたがいいんです、私は貴方にお仕えしたい…出来るならば末永くお傍に≫


俺に色んな人の視線が集中する。

俺はそれを受けながらよろしくの意味で彼女の指を握ればM-5520はパァッと笑顔を作り何度もはい!と返事をしていた。


「よろしく頼みます」

≪はい!お任せを!≫


やったー!と手を上げて喜ぶロボット達に囲まれて俺とM-5520は祝われた。


こうして俺に専属のお世話ロボットがついた。

軍の人に聞いたら処遇をどうしようかと思っていたらしく俺が引き取ってくれてよかったと逆に感謝され、俺のロボットであるという証明の手続きも軍の人がやってくれた。

その時に名前を付けて登録が出来ると言われたので俺はM-5520に名前を付けた。


M-5520の薄いピンクの目が綺麗で俺はある宝石の名前が頭に浮かびその名前をつけたのだ。






「パパラチア」

≪はいレオ様、どうしましたか?≫

「レイブン爺さんの部屋に行きたいんだが…」

≪はい、お任せを≫


パパラチアは俺を抱き上げると児童養護施設から老人ホームに移動する。

その最中に俺の行く目的を知るエバンとジョンは後で見に行くと声をかけられ、パパラチアの腕の中から了解の返事をした。


あれからパパラチアは俺のサポートをしてくれる。

大体が自分で動けるようにするのだがやはり高い所の物を取ってもらったり長距離の移動はパパラチアにお願いすることが多い。



レイヴン爺さんの所へは今日も宇宙戦をやりにいくのだ。

最近レイヴン爺さんから将来の夢を聞かれたがパパラチアのサポートがあればOKな場所もあればそこも候補と答えた。


俺からすれば少し将来の選択が増えたのである。



------------------------


レオはロボットにも優しい子だ。


俺達は最初レオが視界レンズに映った時は新生児が来たのかと驚いたが、幼年体停止症なのだと聞きその障害の人間はあんなにも小さいのかと認識もした。

だがレオは他の子供よりも賢く、精神が大人びていた。


だから俺達の中ではレオは小さくも大変賢い子だと認識していたのだが、レオは他にも他の子達とは違っていた。



「テミー、背中のネジが緩んでる」

≪え?どこですか?≫

「ここ」


ある日俺の緩んだネジを発見したレオは教えてくれた。

どこのネジだと同僚の庭師ロボットも探す中でレオは俺のアームに両手で触れるとここだと誘導した。

ここにあるとアームの先をネジへ優しく手で触れて教えてくれたのだ。


俺は驚いた。

あんなに優しく触られたこと等なかった。

同僚が驚きながらもレオに教えられた所のネジを締めてくれたのだが俺は驚きでレオをずっと見ていた。


≪ありがとうございます、レオ≫


感謝を伝えた俺にレオは笑顔でいいよと言った。


「俺こそいつも綺麗に庭を整備してくれてありがとう」


と笑顔で言った。俺はこの時回路がチリチリと音を立てた。

言われたことなかった。ありがとうなんて。

俺の、俺達の仕事を感謝されたことなんてない。


だってそれが俺達が作られた使命なのだから。

それが当たり前だったのだから。


俺達が驚いて固まっていたらレオはエバンとジョンに呼ばれて行ってしまった。

あぁ、嬉しかった。きっと涙の機能があれば俺は泣いていただろう。

それはここにいた同僚達も同じことだろう。



この日、初めて俺達は自分達の仕事に誇りを持てたんだ。


そして俺達にとってはレオは与えられた役目と同様に考える存在になった。



他の子供達よりも遥かに小さな体のレオ。

そんなレオは俺達に優しかった。俺達の仕事にいつも言葉をくれたんだ。



「いつも掃除ありがとう」

「今日も見張りよろしくなぁ」

「またあのお菓子作ってくれる?すごく美味しかったんだ」

「この花綺麗だな、テミー達のおかげだ」


君はいつも自然に言うから気づいていないだろうな。


レオ、君は他の子と違うのはわかっている。

それは体の事でも君の凄まじい頭脳の事でもない。

君は人を心から思い行動できるんだ。俺達ロボットも思ってくれるほどに優しい子なんだ。



だからこそそんな優しいレオを俺達は君の生涯が幸福の多い生涯であることを≪心≫から祈っているんだよ。




物語の始まり用に書き溜めたものはここまでになります。

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