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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅳ 第四詩集『蟻と土』     1997年刊

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97/133

その33 お人好しはもうやめた

               

ボロモウケを狙った

乱脈融資の焦げ付きを

税金で埋めてやる

死をもたらす危険性が

知らされている血液製剤を

垂れ流す

力ある者の無法は

力ない者に向けられる


我々はひどい目に会う

我々は声をあげる

あげざるを得ない

呻き声のようであろうと

おずおずとした

呟きのようであろうと       

(やられた者だけが

 喉笛を震わすのだ)


我々がよく観察し

関連付けて考えるようになり

呻きや呟きよりも

音量の大きく

内容の明確な声を

あげ始めると


力ある者は

その声に答える代わりに

その声色は共産党に似ている

と言う

と

タジタジ

タジタジ

声はしゅるしゅると

呻きの次元に戻ってしまう     

「アカ」の一言で

事実も道理も封殺できた昔が

今も健在じゃわい、と

力ある者はニンマリ


というわけには

どっこい、いかないのだ

問題は我々の暮らしで

共産党ではない

反共主義を担いで

自分の喉を絞めるほど

もうお人好しではなくなった


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