表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅳ 第四詩集『蟻と土』     1997年刊
89/133

その25 賃労働   偏差値の繭

  賃労働

            

資本の(たがね)

ガッシガッシと削られる

生命(いのち)の玉


削り屑の粉粒を

報酬に浴びて


ガリガリと噛む

その粒々の

味気なさに

辟易している


風が吹けば

残す何ものもなく

空中に飛散する      

かっての生命(いのち)たち




  偏差値の繭

              

受験勉強で締め上げられていた

高校生の頃

他人との間に

透明な薄膜を感じていた


人間ばかりではなかった

外界の事象一般との間に

もどかしい薄膜があった


破りたいと

歯がみしながら そのくせ

その向こう側に在るものに

触れることが怖くて

内側に留まっていた

私の胞衣(えな)

     

眼鏡をかけた小学生が

黙々と塾に急ぐ

乾いた薄明るい繭の中で

「成人」を迎える人間が

増えていく













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ