前へ目次 次へ 79/133 その15 窓 アパートに帰りついて 明かりを点け 部屋の中が見えぬように カーテンを引こうとして あれは 高校生の頃だったか 二階の私の部屋から その女の部屋が見えた 傍らに立つ大きな樹の枝が さし覗くように懸かる 薬屋の二階の窓 女は間借りをしていた 夏の夜 明かりが点ると 私は熱くなって その窓を見つめた スリップ姿の女は 黄色い額縁の中を あちらこちらと動いた 今ならわかる それは勤めを終えた彼女の 寛ぎの時 脳裏に蘇るスリップ姿の 肩や下腹あたりに 見えてくる疲れ