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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅳ 第四詩集『蟻と土』     1997年刊
70/133

その6 切れている   坂

   切れている

       ――職場を変わって


新参者は切れている


切れているのは楽だ


まわりの人々が

関係として立ち上がってくる

その表情や動きの一つ一つに

リアクションを要求される

それはなんと煩わしいことだろう


新参者にもいいことがある

背中を吹く

冷風が代償としても




   坂


職場を変わってから

一キロほどの坂を

毎朝上る


夏になると

門に着く時には

シャワーを浴びたいほどぐっしょり

汗をかいている


門を潜って

ほっと息が抜けるが

建物に入るために

さらに上らねばならない

鉄の階段を目にすると

思いが浮かぶ


ここに

十年、二十年と勤めた者なら

その歳月が慰めとなろう

新参者には

数えるべき歳月がない


あるのは

階段の最初の段を踏もうとする

それだけは変えようもない

この汗ばんだ肉体













 



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