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その7 「ここより他の場所」に反対する
君はどこへ行くのか
根無し草よ
君を誘うものは
幻の霧ではないか
人々から
君を神隠しにする
その霧が覆うと
君は空虚と苛立ちに身を預ける
愛と充足を求めていながら
「納得」して
だからこいつは
魔法の霧
魔法の霧の
甘い囁き
だが耳を澄ますと
くり返される一つの声
ここより他の場所 と
ここより他の場所 と
君はさまよう
垢だらけの破衣
涸れた心の泉
愚昧な貪欲に光る眼
さまよう影のうすさ
とどまれ
この場所に
そして
かすかに見えるほほえみを
自分のもとに
手繰りよせてみろ