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その4 自由 送別
自由
中央上段に
荘厳な椅子がある
おそらくそれには
この上なく神聖な者が
座るのだろうが
主の姿は
常に見えないのだ
で
いつも
その巨いなる空隙に
さまざまな紛いものが
腰を下ろしている
送別
沼のほとりで
鳥達が
送別の宴をしている
何やかやと言い合いながら
酒を酌み交わし
歌を歌っている
残留者たちが
本当は勝利者なのかも知れない
彼らと彼らの場所を捨てていく
鳥は間違ったのかも知れない
鳥には見えたのだ
彼らが餌を啄む沼は
すでにヘドロであり
浄化の術は失われ
そこで生きるとすれば
自らもヘドロになるほかはないと
と言って
移っていく次の餌場がどんな場所なのか
分かってはいないのだ
去る者の影は薄い
「裏切り者」というカミソリも
目の前に閃いて
今日と明日をつなぐ
夜の中途で
鳥はしばし佇立している




