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その2 喪失 職場の机
喪失
それがあることを
何度も願う
それがないことを
何度も味わう
その日々は
何と短く過ぎ去ったことだろう
その日々は
なぜ断ち切られたのか
昨日も
今日も
明日も
なぜその日々を重ねることができないのか
それこそが望みなのに
思いはまた返っていく
それがあることへ
それがあった日々へ
職場の机
勤めだして七年経って
机の引出しの使い方が
少しわかってきた
爪楊枝とかティッシュ
爪切りや耳掻き
歯磨・歯ブラシ・櫛・手鏡
そんなものも
入れておくべきところなのだ
職場の机などは
所詮仕事の付属物で
生活の一部を託せるものだとは
考えてもいなかった
思えば一日の三分の一を過ごす場所だ
机は仕事の道具であるだけでなく
生活の伴侶でもあったのだ
細かく分割して
種々の必需品が納められた引出し
整理された机上から立ちのぼる
生活の息吹




