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その17 職員室で 路上排尿
職員室で
教育の仮面をつけた
無頼漢たちの跳梁
彼らは常に思う
手抜きを
しかも常に願う
賞讃を
だからいつも
二枚舌
彼らは自慢する
生徒の自分への服従を
生徒が物言わぬことを
生徒の怯えを
彼らにとって
生徒は道具だ
生計のための
その歪んだ自尊心をくすぐるための
だから生徒にとって
彼らは災難だ
彼らが羽振りをきかす
学校は災難だ
路上排尿
三十代半ばの女だった
京都四条通りの雑踏を
行きつ戻りつ
猿が地面の餌を漁るように
煙草の吸殻を拾っていた
人々が絶えず流れていた
女は地面ばかり見て
人々の目も女を避けて
真昼
女は浮浪者だった
ふらふらと車道に降り
なおも地面を見つめて四、五歩
と、立ち止まる
前屈みになり
両足を少し開いて
足下に目を落とす
スカートも上げぬまま
ほとばしり出た尿
アスファルトに
尿が黒く広がる
股間から落ちる液体を
じっと見つめる女
(人間 であるのか 今も)
眉をしかめて
何十という人々が
通り過ぎていく




