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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅲ 第三詩集『Recall Buddha』       1990年刊
64/133

その17 職員室で   路上排尿

   職員室で


教育の仮面をつけた

無頼漢たちの跳梁


彼らは常に思う

手抜きを

しかも常に願う

賞讃を

だからいつも

二枚舌


彼らは自慢する

生徒の自分への服従を

生徒が物言わぬことを

生徒の怯えを


彼らにとって

生徒は道具だ

生計のための

その歪んだ自尊心をくすぐるための


だから生徒にとって

彼らは災難だ

彼らが羽振りをきかす

学校は災難だ




   路上排尿


三十代半ばの女だった

京都四条通りの雑踏を

行きつ戻りつ

猿が地面の餌を漁るように

煙草の吸殻を拾っていた


人々が絶えず流れていた

女は地面ばかり見て

人々の目も女を避けて


真昼

女は浮浪者だった


ふらふらと車道に降り

なおも地面を見つめて四、五歩

と、立ち止まる

前屈みになり

両足を少し開いて

足下に目を落とす

スカートも上げぬまま

ほとばしり出た尿


アスファルトに

尿が黒く広がる

股間から落ちる液体を

じっと見つめる女


(人間 であるのか 今も)


眉をしかめて

何十という人々が

通り過ぎていく


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