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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
6/133

その6 思い出   鯨の呼吸   二人の娘

   思い出


お宮の境内

石甃(みち)の上

自分の影を見ていた

涙が鼻柱の脇を通って

ひくひく動く唇に

達する前に石に落ち

黒いしみをつくった


あなたは涙を流し

私の腕を揺すぶりながら

同じ言葉を

くり返していた


負けるな 洸ちゃん なっ


遠くで叫ぶ声のように

私はそれを聞いていた


家が焼け

母を失った時




   鯨の呼吸


鯨の呼吸というものは

ずいぶん間延びがしてますなぁ!


そうです

それだから

あんなに遠くまで

行けるのです




   二人の娘


喫茶店に入ってきてすぐ

ジュークボックスに硬貨を入れる

この曲、うーん、あの曲


 退屈な午後ではないか


ふと外見たらヒロが歩いていた

ヒロ! ヒロ!

二人は窓を叩く

気づかずに横断歩道渡って行く

澄ましたらいつもあの顔ね あの子

二人は外に飛び出した

信号が変わって渡れない

二人で呼ぶのに見向きもしない

なぜ?

顔を見合せて苦笑い


まだ怒ってるみたいね

嫌んなるなぁ、いつまでもぉ


 退屈な午後ではないか



































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