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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅲ 第三詩集『Recall Buddha』       1990年刊
55/133

その8 夜の電車   プラットホームの幻影

   夜の電車


夜の電車は満員で

窓ガラスには

混んだ車内が映っていた


ナチスドイツが

ユダヤ人をガス室に送りこんだ列車は

超満員で

裸にされ

押し詰められた人々のなかには

苦悩を紛らすため

セックスをしている人もいたという


隣に娘が立っていたが

窓ガラスに映る彼女は

唇をひき結んで

そっぽを向いている

表情にある険は

他者との交渉を拒否している


ガス室に向かった列車の中にいた

娘達は

どんな表情をしていたろうか




   プラットホームの幻影


人が倒れた

鉄でできた

大きなうちわのようなものが

その人を叩き伏せた


(人はやはり肉なのだ)


ネクタイを締めた

どこにでもいる

小市民


いつものように

プラットホームに

自信有り気に立っていたのに


一撃 だった


(肉にとどまりたくはない)


電車が動き出し

そこにまだ

生きているように立っている

その人の外殻も

流れ過ぎた


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