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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅱ 第二詩集『彷徨』     1985年刊
43/133

その15 通夜

横になったとき

あの人はよく

自分の頭の下に

私の手を引き入れて

持ち上げてみろ

と言いました

重い と言うと

重いだろう

と頷くのでした

寝たままの片手では

うまく上がりませんので

起き上がって

両手で持ち上げてやると

気持ちいい と

目を閉じました

眠りたいのに

この頭が

回転を止めない

そんなことを

言っておりました

明かりを消して二時間ほど経つのに

大きな溜息をつき

寝返りを打つのです

私の体が少しでも触れると

ビクンとしたりして

そんな夜が

ひと月ばかり続きまして


利己的な人です

自分のことしか考えないで


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