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その10 ベトナムの二重体児
胴体の両端に頭
一つはニコニコ笑い
一つはぐっすり眠っている
胴体の中央に直角についた一対の足
その間に小さな男性器一つ
やあ、兄弟、お目覚めかね
ぼくはさっきから考え事をしていたんだ
ぼくらは何モノなんだろうと
こちらの一本がぼくの足で
そちらの一本が君のだろうか
へそのところが
ぼくと君の境界線なのか
でも君が痛いときは
ぼくも痛いんだしね
このチンコは
君とぼくとの共有物か
体はつながっていても
ほら、今ぼくが思ったことは
君にはわからない
君はよく泣くが
ぼくはおとなしいしね
ねえ君
ぼくらは
時々ぼくらを周りから見下ろす
あのニンゲン達と同じなのだろうか
同じはずないよね
全然違ってるものね
ぼくらはきっと
なにか新しい生き物だよ
そうだろ
今は君とぼくしかいないけどさ




