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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅱ 第二詩集『彷徨』     1985年刊
36/133

その8 移動について

     (移動=A地からB地へ、主として用務のために動くこと)


移動の間は夢

何しろ獣たちの間で

キバを剝き続けているので


車窓から眺める

糞と血で赤茶けたサファリランド

生きものどもが

生きることに戦慄している

(さだめ)の地


この窓ガラスの内側でなら

キバは消え

しだいに人間(ひと)らしい表情(かお)になり

空想の楽しみに耽っても

肉を噛まれる恐れもない


この席でなら

心臓はやわらかに搏つ

古びたアパートの階段にも

感傷を拾いあげる

曇り空に

童謡の記憶さえ蘇える


車が停まり

うかつにも

人間(ひと)(はだ)のまま外に出れば

襲い来る一撃で

絶命する


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