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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊

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28/133

その28 夕陽   屍体

   夕陽


夕陽が沈んでいく

華麗な裳裾ひき摺り

遠い

なだらかな

暗い稜線の向こう


窓を透った

黄色い光が

壁に桟の形を映し

凭りかかり見入る

私の肘に

届こうとする




   屍体


線路のかたわらの

小砂利の上で

朽ちていく


雨に濡れ

陽に乾き

馬糞紙のように

突っ張り


前額だけ残った頭に

脳髄が詰まっていた頃

前屈みになって

懸命に四肢を動かしていた頃

抱いていた思いは


屍体となって

屍体によって

初めて抗議するのか


列車は通り過ぎ

人々は通り過ぎ



                         第一詩集『帰郷』完


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