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その24 花火 注水 スイカ
花火
闇の中で
あかく点り
あおじろくなり
しろくなり
燃え尽きる
花火
お前が
一心に身を焼く
つかの間の
奇跡のような明るさ
澄明な
湖の輝き
できるなら
頬擦りしたかった
生命のように
注水
鉢植えの土は
白く乾き切っていた
如露をほとんど逆さにして
水を注ぐ
乾きひび割れた大地を
奔流が走り、潤し、溢れる
解きほぐされた土粒が
渦巻き、ぶつかり、結合する
今解放の時
如露を支える
腕の痛みをそのままに
見つめる
スイカ
スイカを食べ
種子を吐き出す
種子を
舌先がうまく捕えず
気短に呑みこみそうな自分に
涼しくなる
それにしても
十六分の一ほどの切り身に
埋めこまれた
種子のおびただしさ
種の成育
そのためにだけ
この赤く甘い果肉は
献げられた




