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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
24/133

その24 花火   注水   スイカ

   花火


闇の中で

あかく点り

あおじろくなり

しろくなり

燃え尽きる

花火


お前が

一心に身を焼く

つかの間の

奇跡のような明るさ

澄明な

湖の輝き


できるなら

頬擦りしたかった

生命(いのち)のように




   注水


鉢植えの土は

白く乾き切っていた


如露をほとんど逆さにして

水を注ぐ


乾きひび割れた大地を

奔流が走り、潤し、溢れる

解きほぐされた土粒が

渦巻き、ぶつかり、結合する

今解放の時


如露を支える

腕の痛みをそのままに

見つめる




   スイカ


スイカを食べ

種子を吐き出す


種子を

舌先がうまく捕えず

気短に呑みこみそうな自分に

涼しくなる


それにしても

十六分の一ほどの切り身に

埋めこまれた

種子のおびただしさ


種の成育

そのためにだけ

この赤く甘い果肉は

献げられた


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