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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
22/133

その22 路程

地上に

二本の足で

俺達が立った

それは――

あの地点だ

もうよくは見えぬが


あそこからここまで

地平線を越えて

赤茶けた道が続く


道に沿い

影を連ねる

歴代王朝の墳丘

頂きに植えこまれ

光る

折れた宝剣

砕けた玉碗

血染めの鍬


俺達の上を

ぎしぎし

通り過ぎていった

華麗な男や女たち

湧き起こる哄笑とともに

打ち落された俺達の首

今も首筋に甦る

刃の冷たさ


腹の上で

くり返された饗宴

おお ぎしぎしぎしぎし

砕ける俺達

逃げ散る俺達

諦める俺達

抵抗する俺達

蜂起する俺達

分裂する俺達


俺達の上に築かれ

崩れていったもの

それが歴史なら

歴史は正しく

俺達が支えた


今も

がっしり肩に喰い込む

壮大な殿堂

見上げれば

雲に霞む

あの頂の鳳凰まで

俺達の血だ


動けぬ

容易には


だが確かに

這い蹲った地べたから

俺達は片膝を立て

両膝を揃え

腰を上げてきた


誰が

押し戻せる


しっかり見つめろ

行く手に陽を浴びる

墳丘も殿堂も消えた

人間の平野を


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