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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
21/133

その21 玩具

姉の子が遊ぶ

ペンギンの恰好をした玩具だ

ゼンマイを巻いて水に浮かすと

黄色い足ひれで

ピタピタと水を叩いて前進する


風呂に入った俺は

そいつを水中に引きずり込んだ

底で手を放すと

水面へ勢いよく上がってくる

不都合 と思った俺は

上がってくる頭を横に払った

そいつは力なく胴を見せた

が 忽ち頭を上に向け

意外に鋭く上昇してくる

水面との接近

俺は慌てて

手荒く頭を叩き下げた

苦し気に身を捻りつつ

そいつは下降する

が 膝の間で踏み止まり

またも頭を上に向ける

俺は重ねてその頭を

底に向けて押し下げた

苦悶に沈むかのように

底を這うそいつ

が なお俺の手に

確かな突き上げを返してくる


何度目かに

俺の一瞬の隙を突いて

そいつの顔は水面に出た


あどけないはずの

眼と嘴が

妙に生き物の力を持って

俺に挑んでいる


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