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その17 静かな心 じっと見る
静かな心
おいで
静かな心よ
わけのわからぬ野心が
私を
棘の多い天まで
引っ張り上げていたのだ
今
切なく空を泳ぐ
凧の糸が切れて
いとも快く落下する
手足を伸ばして
お前のなかに落下する
現在の生活も
悪くはない
私はお前のなかで
現実の生き様を抱きしめる
私が持つ
人々とのつながり
その一つ一つに
光をあてれば
済まなくも
浮かび上がる
綻びの数々だ
じっと見る
朝起きた時から
じっと見る
顔を洗う時も
じっと見る
じっと見る
眼を逸らすな
電車の中で
じっと見る
座ってる顔
じっと見る
跳ね返す眼も
じっと見る
じっと見る
眼を逸らすな