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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅴ 第五詩集『おれの場所』   2007年刊
133/133

その35 友の犬

犬の形をした

僕の友は

鼾をかいて眠っている

授乳のために食べこんだので

ぶあつくなった背中が

上下している


その友の

子供が死んだ


生まれてきたのは

苦しむためだったような

四十日の命


瀕死の重態にありながら

くっと立って

横たわる場所はここではないと

ホットカーペットの外に出てしまう


毛布をかけると

撥ねのけるように立って


死を覚悟したのに

二度三度と

立ち直りの

期待を抱かせてくれた

強い奴


最期は

文字通り足掻いて死んだ

ストーブの前に横たえられていたから

足掻いたのは例によって

ホットカーペットの熱から

脱出しているつもりだったか

血を吐いて

口のまわりを朱に染めて


受難に

雄々しく立ち向かった

小さな体よ


今、頭をもたげて

友は窓の外を見ている

亡き子の声が聞こえたか


その瞳の         

無垢な光



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