表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅴ 第五詩集『おれの場所』   2007年刊
130/133

その32 文弱   本の中の人生

  文弱

                                  

生活の資を得る仕事のほかに

文学という仕事を抱えて

限られた時間を

やりくり算段


休むこともできず

文事に旋回する

プロペラ頭

神経は細くなり

針が落ちても

大振動


地面から浮き上がった足

腰が据わらぬ態勢のまま

憂き世の憂さとご対面


情けないほどオタツイテ

気持を一気に切迫させ

パクパクと

呼吸困難の口を開け閉め


〈落ち着け、慌てるな〉


座右の銘を担ぎ出す段にいたれば

文弱とはこのことと

いまいましく舌打ちする




   本の中の人生

                                   

乗り継ぎの列車を待つ

苦痛な時間も

本を開けば

消し飛んでしまう


まこと

本の中の人生を

生きたのか


本は「理想」と「現実」を告げた

「理想」は本の中にあった

その目映さに目を奪われ

周囲の人の顔なども

よくは見なかった

   

その光芒を

ひたすら追いかけ

周囲の出来事は

窓外を流れる風景

に異ならなかった


青春は

本の中でこそ持続したのだ


本が指し示す

の眺望の(パースペクティブ)なかでは

一生は世界への

束の間の関与でしかない


このショートステイで

何を為す?


夢の

ほんの一齧り



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ