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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
13/133

その13 愛について(1)


一日の終り

眠りに就く前のひと時

愛がひそやかに近づき

静かな椅子に僕を誘い

とっておきの問いを出す


愛ってどんな事かわかる?


問いは痛切に胸を刺すが

僕には無論わからない


わからない と答えると

愛は一跳び側を離れ

身を屈めて僕を窺う

白鳥を踊るプリマドンナのしぐさで


本当にわからないの?


立てた爪先を小刻みに動かしながら

湿った声で愛は尋ねる


ああ、わからないさ!


僕は苦しさに耐えかねて叫び返し

愛を手中にしようと足を踏み出す


爪先立って両手を上げ

小刻みに震え続ける愛は

柔軟(しなやか)身体(からだ)を預けるかと思う瞬間

羽よりも軽やかに

僕の腕から脱けていた


気がつけば愛は

透けてしまった腕を

僕の首に巻きつけ

透明な瞳に涙を湛え

僕の頬に接吻(くちづけ)しながら

同じ言葉を囁き続ける


可哀そうな人 透明な私しか抱けない

あなたの心が枯れているのよ

私を摑むには弱すぎるの


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