11/133
その11 咀嚼 悲しみのルイザ
咀嚼
悲しくて
切なくて
涙が出そうだ
ああ
誰もわかってくれないから
だぁーれもいない
支えとなる奴ぁ
ぺっ
唾でも吐きかけろ
涙なんか流すことはない
流した涙を誰が掬う
お前の涙は甘すぎて
とても口には合わぬとさ
泣くな
泣き面を
蜂は刺す
咽喉のあたりが
不甲斐ない悔しさで
灼けるようだが
待ってろ 止めの一撃
今は
悲しみさえ糧にして
俺は太らねばならぬ
悲しみのルイザ
悲しみのルイザ
化粧もせず
風の中を
今日も歩くよ
うすい肩よ
かげりある瞳
青い長衣
細い歌声
真夏の白い
舗道の上を
木漏れ日のように
過ぎていったよ