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その10 常在戦場
「常在戦場」と
得意気に揮毫する政治家がいたが
彼らの功もあって
暮らしの場は
戦場の様相を呈してきた
隣に座っていても
互いに口をきかない
隙をみせるな
やられるぞ
弱みをみせるな
どんなに苦しくても
硬直した
突っ張った
どんな和みもない
痛いほどにぴんと張った
発火点が
視野の端にちらちらして
死にかけた部分は
すでに腐臭を発している
真ん中には
どかんぽっかりと空洞
周縁だけがひりひりと焼けていて
その辺りから
刃物を持った男や
わが子を殺した女が
飛び出してくる
死屍が積み重なる
この暮らしの戦場にも




