『U-24』
今は、1915年5月
ドイツ帝国の軍港に、先日の戦果を喜ぶU20の船員達が宴をあげていた。
「見たか、あのイギリスの商船。俺たちの魚雷であっという間に沈没しやがったぜ。」
「がはは、まったくだ。口ほどにもないとは、このことだ。」
「何人、イタリア野郎が死んだか知ってるか?1200人だってよ。」
「ふぅー!やったね。」
「ドイツ帝国、海軍潜水艦隊 U20 に乾杯だ!」
「おぉぉぉ!!!!」
そこに、先ほど帰還した U24 の乗組員の1人が呟いた。
「浮かれやがって。」
その言葉が耳に入ったU20の潜水艦員としては大柄な男が 喧嘩を売ってきた。
「よう、浮かれやがってだと?もういっぺん言ってみろよ。坊ちゃん。」
「そうだ。坊ちゃん。お前らU24の乗組員は、みんな坊ちゃんで、海に出ても、潜ってばかりで、イタリア野郎が来ても、ビビッて声を出さないように、お互いの口を塞ぐ、オカマ野郎の集まりだってな。」
「早く俺たちみたいな戦果をあげてみろよ。臆病者のU24ども。」
U20達の笑い声がこだまする。
「ふん。臆病者で結構だ。お前らみたいに、イタリアの尻ばかり追いかけている卑怯者よりはな。」
「なんだと!この!」
大柄な男が殴りかかろうとしたとき、
「やめないか!」
声を出して静止させたのは、司令部に報告を済ませたU20のアーデルハイト大尉とU24のブリュンヒルデ大尉である。
「すまない。ブリュンヒルデ大尉。酔っているとはいえ、大勢であなたの部下に・・・」
「いや、アーデルハイト大尉、お互いわかっているのさ。だから、ぶつかりもする・・・皆、聞いて欲しい。Uボートの勇敢なる同志たちよ。なぜ、私たちは戦うのか?この大儀なき戦いをなぜ進めるのか?このような兵器を作り、イタリアもイギリスもフランスもドイツも、ただ新しい玩具(兵器)ができて遊んでいる子供のようだ。作っては壊し、作っては壊す。そして、我々が乗る潜水艦Uボートは速度が遅く水上艦と正面からの戦闘をするには不利だ。やられれば、空すら見えない棺桶の中だ。だからこそ、無制限潜水艦作戦などという無警告による攻撃しかできないのが現状である。果たしてそれが、我々の芯の戦い方なのだろうか?いつかは、戦いは終わる。その時、妻や、恋人、子供たちに、私たちは、敵を後ろから無警告に殺し続けたよ。と言えるのか?まるで強姦魔のようじゃないか!戦争だ。お互い殺し殺されもする。しかし、この不毛な戦争にも、ちゃんと意味があったのだと後世に伝えることがあると私は考える。」
この、U20が起こした豪華客船ルシタニア号を無警告で沈没させた出来事をきっかけに、アメリカが戦争に参入することになる。
同年8月 ドイツは商船への無警告攻撃を禁止する。
読んで頂き誠にありがとうございます。
Twitterトレンドの『U-24』で妄想作成してみました。
ま、サッカー知らないから、このような内容になってしまっただけですw
それでは、またお会いいたしましょう。(._.)ペッコ