第5話 VSスライム
高校から帰って、俺はすぐにVRMMO【ジャバウォック・イビルワールド】にログインした。
ログインボーナスの勾玉(ジャバウォック・イビルワールドでガチャなどの回すための石)を5個受け取って、ジャバウォック・イビルワールドの世界に来た。今日はソロでスライムを討伐する。
スライム。ファンタジー世界で性質上厄介者として有名なモンスター。ジャバウォック・イビルワールドのスライムは物理ダメージ激減がかなり厄介。攻撃力は低いが、体が水分であるため、プレイヤー達の顔面にくっついて呼吸ができないようにする戦法をよくとる。これのせいで多くのプレイヤーがゲームオーバーになってしまった。
――嫌われもののスライム。俺が徹底的に葬ってやろう!
俺はクエストの開始ボタンを押した。
転移で来た場所は【熱寒の砂漠】。太陽が出ている時は40度を超えるが、太陽が出ていない時はマイナス20度を下回る極端な砂漠。今は太陽が出ているので熱い。
「さぁスライム! 戦闘開始だ!」
威勢をはっていると、砂の中から赤ちゃんの頭位の大きなのスライムが出てきた。
「可愛い見た目だな! だが! 容赦はしねぇ!」
俺はスライムに向かって魔法弾を撃った。だが、スライムは避けた。という事で俺は何度も魔法弾を撃った。しかし、素早く動き回る小さなスライムには一発も当たらない。
「しつこいな! 諦めてご臨終になってろ!」
俺は魔法爆弾をスライムに撃った。スライムは魔法爆弾自体は避けたが、爆発には当たった。
「ハッハー! どうだ! この俺に倒せないモンスターはいないのさ!」
しかし……そのスライム。膨れ上がってきた。
「なんだ? 大きくなって戦おうってのか!? それはいいな! 魔法爆弾が当てやすい! どんどん大きくなれ! どんどん……」
調子にのっていた俺だが、スライムは一軒家並みに大きくなっていた。
「待て! それ以上大きくなる必要は……」
――まずい! まだ大きくなる! 飲み込まれないうちに離れなければ!
体育館、運動場、滑走路、東京都、日本位まで大きくなり続けるスライム。逃げても逃げても終わりが見えない。
――まさか! 誰も勝てない原因って……!
大きくなり続け、そのままプレイヤーを飲み込んで倒す。このスライム。いや、正式名【短気膨張スライム】。攻撃力をほとんど無いが、1回攻撃を当てられるとぶちギレて大きくなり続けるという厄介者。大きくなると体力も高くなるので倒すのはどんどん困難になる。日本位まで大きくなると、もう撃破は不可能である。
「うぅ……!」
俺は呼吸ができなくなり気絶。ゲームオーバーになった。
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――くそぉぉぉ!! 俺は他のやつとは違うって事を証明したかったのに!
ゲームオーバーになって戻された後、俺は悔しくて発狂しそうになった。
ソロでゴブリンを撃破(第1話)し、ソロでグレムリンを撃破(第2話)し、5人でケルベロスを撃破(第3話)し、ソロで変なのを撃破(第4話)した。うまく行きすぎてモンスターを嘗めていたのだ。だからスライムに負けた。
――今度は何人か連れて速攻で倒そ。