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高1を12回ループしたクラスメート達が賢者モードになっている件  作者: 陽乃優一
第一章 彼らと彼女は、何かを悟っていた
5/55

05「私までループに巻き込むつもりですか?」

短編前半分割分です。

 4月下旬に差し掛かった頃、何か部活動をしようと考え、クラスメートにおすすめを尋ねた。ちなみに、私は運動系、文化系、どちらもそこそこにおっけーという質だ。器用貧乏ともいう。


「お、それじゃあ、俺達が作ってる『国際社会研究同好会』に入らないか?」

「国際……え?」


 柿本くんが他数名のクラスメートと共に、そんなお誘いをしてきた。


「母親がドバイ赴任なんだろ? 社会情勢とか知りたくないか? 特に、中東圏の」

「あー……かも、しれない。でも、具体的にはどんな活動するの?」

「そうだなあ。たとえば、現地報道機関のWebサイトを読むとか」

「……アラビア語、読めないんだけど。お母さんもあいさつ程度で、他は英語でコミュニケーションとってるって言ってた」


 私自身も、英会話は普通にできる……と思う。出張付き添いやら観光やらで両親といろんな国に行ったこともあって、外国語を使うこと自体に抵抗はない。


「教えてあげるよ! 世界の主要言語はだいたいマスターしたから!」

「……へ?」

「時間だけはあるからねえ。記憶を保持してループする者の特権だよな!」

「そうねー。私はフランス語中心だけど」

「私は中国語! 北京官話と広東語の両方いけるよ!」

「はあ……」


 実益もありそうなので、お試し入会することにした。とりあえず、中東情勢に詳しい日本語Webサイトの情報と、アラビア語入門という本を渡された。


「半年くらい続ければ結構わかるようになるよ!」


 私までループに巻き込むつもりですか?



「運動系はループの恩恵があまりなくて……」


 陸上部を覗いてみたら湯沢さんがいたので、国際社……長いから国研とか呼ぼう、その部活動の様子を交えながら訪ねてみた。


「これでも、ループのたびに頑張ってるのよ? 100mのタイムを縮めるためのあれやこれやの方法を試しまくって。でも、次のループが始まるとリセットされてるのよ! 筋肉が!」

「筋肉だけ?」

「そりゃまあ、トレーニングとかの経験は残るから、ループを重ねるごとにタイムは縮んでるわよ?」

「すごいじゃない!」

「年度末にようやく実感できる、って感じなのよ。しかも、最近の周回だとミリ秒とかそのレベルで」

「あう」


 でも、晴れてループから抜け出せれば、ぐんと伸びるのではないかと思う。あとは、優秀なコーチとか? この様子だとスパルタになりそうだけど。


「この周回ではまだ4月だからね、ひたすら走り込んで筋肉鍛えないと……!」


 ただの筋肉好きかな?



皆中(かいちゅう)は増えましたね」

「やっぱり、経験の積み重ね?」

「ですね」


 鳴海さんが弓道部だというので、興味はなかったけどループの影響を知りたくなって尋ねてみた。どうやら、弓道部は精神的な要素が大きいらしい。


「ですけど、やはり体の作りが元に戻るので、今の時期は辛いですね。それは、湯沢さんと同じでしょうか」

「でも、割と早い時期に前の周回の実力を取り戻すってこと?」

「はい。なんというか、経験した記憶を体に馴染ませていく? そんな感じで射続けていれば……といったところです」


 柔道とか剣道とか……力任せではなかなか敵わない競技は同様の傾向があるのかもしれない。


「じゃあ、大会は?」

「8周目からは、超高校級と呼ばれるようになりました」

「おお」

「でも、プロの類に進出するには、翌年度以降の活躍も必要になりますので……」


 それは、他の運動系も同じかな? 大会で無双、というわけにはいかないようだ。


「とりあえず、この周回でも全国は制覇するつもりです。この時期は、精進あるのみです」


 うーん。


 なんだろう、ループに関わったクラスメート達って、みんな意識高い系っていうか、向上心がハンパない。HRでの議論もそうだったけど、何かを極めようとしている感じ?



 ガラララ


「おお、タイムアタックで1秒縮みましたよ!」

「なにい!? 俺はまだクリア時間にすらお前に引き離されてるのに!」

「ふっふっふ、集中力が違うのですよ、集中力が」


 ガラララ……


 ビデオゲーム同好会は、シューティングゲームのタイムアタックに興じていた。極めているのは確かだけど……部室の扉をそっ閉じ。

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