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高1を12回ループしたクラスメート達が賢者モードになっている件  作者: 陽乃優一
第一章 彼らと彼女は、何かを悟っていた
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02「私は……何もしなくていいのかな」

短編前半の分割分です。

 私が概ね信じる気になった頃のある日のHR、委員長の安藤くんからあらためて『本題』が語られた。


 なお、本来HRで行われる周知連絡とか話し合いとかは、過去のループの間でほぼ固定されたとかで、行う必要がないそうだ。いや、私は初めてなんだけど。でも、委員とか何もしなくて済むのは楽か。


「というわけで、13周目にして劇的な変化が起きたことで、ようやくループから脱出できるんじゃないかって、みんな期待しているんだ」

「劇的な変化……私が、入学したこと?」

「そうだね。僕らの過去の記憶を照らし合わせても、この12周の間は、このクラス…というか、この学校に君が入学したことはなかった」


 天気とかとはレベルが違うけど、これまでの12周と比べたら、当初から全く異なる事象らしい、私の入学は。


「家の都合で、ということだったけど、どんな理由か聞いていいかな?」

「理由? えっと、中学3年の半ば頃に、お母さんが急にドバイに転勤することになったのがきっかけかな?」

「「「ドバイ」」」

「お父さんはデイトレーダーで在宅勤務だったこともあって、一緒について行くことになって。ひとりっ子の私もついてこないかって話もあったんだけど」

「「「デイトレ」」」


 ん? クラスの反応がなんか微妙だ。ウチの両親、そんなに変かな?


「私は日本に残りたかったから、親戚が住んでるこっちの県の高校を受験して、現在に至る、ってところかな」


 この経緯は、割とはっきりしている。選択の余地があったかというと、あまりなかったと思う。状況的にも、気持ち的にも。


「うーん、これまでの12周では別の高校に入学しただけなのか、それとも、親御さんと一緒にドバイに行く選択をしたのか……」

「それとも、そもそも御両親が出会っていなかったとか? 安積さん自身の存在がこれまでのループとは違うのかもしれませんよ?」

「いや、ちょっと待ってくれ。中3の頃にしろ数十年前の頃にしろ、そんな時期から違いが出ているなら、今年の4月を起点としたループになるのはおかしくないか?」


 わいわい、がやがや


 ……みんな、すごいなあ。一致団結して議論している。それだけ、ループから脱出したいってことなんだろうけど。でも、こうして議論して意見をまとめていくってスタイルに、みんな慣れているという感じだ。これが、12回も同じ一年を繰り返した結果なのだろうか。


「よし、意見は尽きないが、今できることは推測でしかない。今後は、安積さんの加入で起こった違いに注目していくことにしよう」

「異議なーし」

「ですね」


 今後の推移を見守る、ってことでいいのかな? 私は……何もしなくていいのかな。


「はー、でもなんか楽しみだなあ。何が起こるかわからないっていう、この感覚」

「久しぶりだよな。いや、本来はこうあるべきなんだよ」

「そうだね……そういう意味では、安積さんには、この一年で起きることはあまり知らせない方がいいかもね」

「え?」

「ああ、心配しなくていいよ。事故とか事件とか災害とか、そういうのはほとんど起こらない、平和な一年だったから。少なくとも、これまでの12周ではね」


 そっか。それなら、まあ。


「あ、もちろん、過去問(・・・)は渡すから」

「ほどほどに、ね……ほどほど、に……」


 白鳥先生が、切実に願っている。2周目でどんな目にあったんだろう……。まあ、実際確かにカンニングだし。丸暗記一辺倒は避けることにしよう。

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