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高1を12回ループしたクラスメート達が賢者モードになっている件  作者: 陽乃優一
第二章 彼らと彼女は、何かを楽しんでいた
11/55

10「もしかして……白鳥先生?」

 ゴールデンウィーク初日。


「……ってことを、昨日お父さんと話したんだ」

「難しくてわかんなーい。柿本あたりに丸投げっ」

「ですね。安藤さんにも取りまとめてもらいましょう」


 昨日お父さんに話した通り、今日は湯沢さん、鳴海さんとショッピング。電車に乗って、隣街の少しおしゃれなファッションモールに向かっている。


「あそこの店のタピオカがおいしーのよ! あと、老舗のナタ・デ・ココに、季節限定のグレープフラッペ!」

「え、夏服を見に行くんじゃないの?」

「私達のはもう決まっている(・・・・・・・・)からねー。時間的な余裕はたっぷりあるよ!」

「私もそうですね。今回は、9周目に選んだネックレスも手に入れようと思っています」

「菜摘ちゃんに似合いそうなパレオもたくさんあるよ!」

「え、水着!?」


 いやまあ、みんなのおかげでスタイルも徐々に良くなってるのを実感してるし、夏までに新しいのを買おうとは思っていたけど……あ、みんなもそうなのか。リセットされるわけだし。


「でも、お金が……」

「そこはちゃんと調べてありますよ。だからこそ、隣街まで行くのですから」

「そうそう。……4周目の時、近所の店で去年の水着でぼったくられたのは今も忘れはしない」


 湯沢さん、性格変わってるよ?



 そういうわけで、湯沢さんと鳴海さんの買い物は、本当に素早く終わった。どの店でも試着室で見事な着こなしをして、店員さんや通りがかりの人々(主に男性)の目を釘付けにしたほどであるにも関わらず、である。


 ちなみに、私の水着選びもすんなり終わった。ふたりに、これとこれとこれ、と手渡され、そのまま一緒に試着室に入って確認していった。好みのデザインがすぐに決まり、割安でもあったことで、私としてはほくほくである。


「……予想はしていたけど、菜摘ちゃんが一番インパクトあったなあ」

「ですねえ……。私達も初めてでしたからフォローが追いつかなくて」

「1周目から一緒にいたら、どうなってたのやら……」


 レジ精算後、なぜか少し疲れた顔をしていたふたりに近づいていき、声をかける。


「どうしたの? ……あれ?」


 ふたりがいる方向の、ずっと先の通路の反対側、音楽ショップの入口付近。


「もしかして……白鳥先生?」

「あ、本当だ。あの店にいるの、初めて見たなあ」

「この店に菜摘さんと来るのが今回初めてですし、今までの周回では遭遇しなかったのですね」


 それぞれの周回のこの時期にモールに来ていたふたりにとっても、白鳥先生がいるのは思いがけないことだったようだ。


「一緒にいる男の人、どなたでしょうね。背が高くてとてもハンサムですけど」


 白鳥先生より少し背の高い男の人と話をしながら、CDやDVDを一緒に見ている。談笑、というよりは、普通に会話をしている様子である。白鳥先生はともかく、男の人はサングラスと帽子で表情がよくわからないが。


「白鳥先生のプライベートは、これまでの周回でも関わってなかったしねー」

「恋人……なんでしょうか」

「ええ!? いやまあ、白鳥先生も美人だしなー。お似合いと言えばお似合いかな」


 白鳥先生は美人である。クラスメート曰くいろいろ残念なところがあるものの、顔立ちはすっきりしているし、背も女性としては高い方かもしれない。ただ、体型がその……特に、腰回りが……ごにょごにょ。


「でも、恋人だとしたら、『リセット』するたびにお付き合いの関係が元に戻るよね?」

「だねえ。そして実は、結婚間近ってほどの関係だったとしたら……」

「それは……辛いかも、しれませんね」


 推測の上に推測を重ねているけど、学校外での白鳥先生についてほとんど考えていなかった私達にとっては、少しショックだった。


「これ、クラス会議案件かもね。プライベートなことはともかく、白鳥先生のこともちゃんと考えようっていう」

「ですわね。連休明けのHRで早速話し合いましょう」

「でも、白鳥先生がいたらまずいよね?」

「メッセージアプリのグループでやりとりしましょうか」


 その夜、クラスのグループメッセージは荒れに荒れ、しかし、何も結論は出なかった。マクロ的なことでなくとも、どうにもならないことがあるようだ。

白鳥先生「私もグループに入ってるんだけど……」

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