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高1を12回ループしたクラスメート達が賢者モードになっている件  作者: 陽乃優一
第一章 彼らと彼女は、何かを悟っていた
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01「……13年目?」

先に投稿した短編を連載化したものです。最初の数話は、短編前半の分割+新規話挿入です。

「出席番号1番、安積(あさか)菜摘(なつみ)といいます。家の都合で、隣の県から……」


 ………

 ……

 …


「「「「「うおおおおおお!」」」」」

「ひっ!?」


 高校の入学式の日、最初のHRで私が自己紹介を始めたら、クラスメート全員から歓声が挙がった。そして、担任の先生は涙を流していた。


 ナニコレ。



「……ループ?」

「まあ、信じられないとは思うけど」


 私以外のクラスメート全員が私にだけ自己紹介するという奇妙なHRを終えた後、既に決まっているというクラス委員長、安藤(あんどう)くんから説明を受ける。他のクラスメートは、私達を取り囲んで興味津々な顔をしている。


 なお、担任の白鳥(しらとり)先生は、未だに教卓で涙を流している。ちなみに、担任はこのクラスが初めてという女性教諭である。


「信じられないというか……何が何やら」


 ループ自体は知っている。SFやファンタジーでは定番だし。でも、それが現実に起きていると言われたら、そりゃあ混乱もする。なにしろ、私以外のクラスメート全員+担任にそう言われたのだから。


「えっと、私以外、みんな同じ出身の中学とか……」

「うんうん、みんなで安積さんをからかってると思うだろうね」

「でも違うんだなー。というか、中学の頃って、だいぶ忘れちゃった」

「ですよね。なにしろ13年目ですから」

「……13年目?」


 近くにいた女子生徒、湯沢(ゆざわ)さんと鳴海(なるみ)さんが補足するように言葉をかける。


「つまり、私を除いたこのクラス……1-Cの生徒と白鳥先生は、12年間、毎年同じ一年を繰り返していたと?」

「実際には、僕らから変化が出るよう行動したこともあったから、全く同じというわけでもないんだけど」

「でも、学校行事とか、もっと大きいこと……社会情勢とか地震とかは全く変わらなかったよね」

「だね。……そうそう、これを1週間ほど見てもらえれば割と信じてくれるかも」


 そうして、安藤くんから渡された手帳には、向こう一年間の毎日の天気が書かれていた。1時間刻みで。



 1週間後。


「まだ信じられないけど……天気予報よりもはるかに正確だったし……」

「よしっ」


 穏やかにガッツポーズをする安藤くん。周囲のクラスメートもうんうんと頷いている。


 ちなみに、入学式から1週間、他のことでもびっくりさせられた。その最たるものが、実力テストの過去問(・・・)。本来の意味のそれではなく、12回ループして覚えた……という問題と解答のセットを、クラスメート全員(もちろん、私を除く)で手分けして密かに作成したというもの。


「あー、でも、テストではそこそこに手を抜いてね? そうだなあ、多くて9割くらいの正解を目指して」

「どうして?」

「2年目のループの時、ヒドい目にあってねえ……」


 なんでも、1-Cだけが全員どの科目も満点に近い点数を叩き出し、カンニングを疑われたらしい。しかも、新しくクラス編成された入学直後のことだったから、


「担任の私が疑われて……あの時は辛かった……ぐすっ」


 ヒドい目にあったのは白鳥先生だったようだ。

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