素敵な世界と3人組の少女 -前編-
身の丈に合わない武器を担いだ少女達が、かつての街の中を進行していた。
かつてというだけあって、街は崩壊して、住んでいた住人達はとうの昔に出て行った場所、なのだが……。
それを調査するために少女達は、ここに来ている。そんな少女達はこの街の繁栄も住んでいた頃の住人達も知らない。
街の中でも天にそびえて建つ高い建造物は、少女達にはさらに太古にあったとされる巨大な塔とその街々と同じに見えた。
かっての住人達は少なくなった、今、ここは地上。
少女達の知らない別世界であった。
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| * 素敵な世界と3人組の少女 * |
└――――――――――――――――――┘
少女達、3人は廃墟となった街を歩いている。
そのうちの1人は退屈そうに歩いていた。この廃墟がどうして、こうなったのかも知らないし、興味もない。ただ、言われて、ここへとやってきただけだ。
だから、退屈なのだ。
「ねぇ、疲れない」
そう、少女はだるそうにつぶやく。つぶやくといっても、周囲に漏らす程度には大きく、誰もいない静寂の街では意外にもその声は響いていた。
「まだ、歩き始めたばかりじゃない。それに敵がいるかもしれないのに」
逆に別の少女は小声で話しかける。周りに気をつけているからこそだ。
確かに、少女達は身の丈に合わない巨大な武器を担いでいる。それはいるかもしれない敵に対して使うためのモノだ。
「そろそろ、休憩しない」
再度、そうつぶやいた少女は今度は周りではなく、ある種、別の方向を向いてつぶやいていた。
「レモア。そう、彼を困らせないの」
レモアと呼ばれた少女はフライトジャケットをファスナーも閉めずに羽織っているだけで、担いでいた長物の銃のようなモノの銃身を持ち手にして、杖のように地面へと突き当てて立ち止まっていた。
フライトジャケットの下は全身を包む純白のボディスーツを着ているだけである。そのため、体のラインがもろに出ている。その凹凸したラインを見せるかのようにフライトジャケットは開放していた。
別に誰に見せるわけでもないのだが。
そして、そのシンプルな出で立ちをさらに引き立てる長く、くせのあるウェーブがかった金髪と3人の中では一番背の高さ。
この廃墟と対比して、異質な美しさ、かわいさである。
「まあ、基地から出て時間は経っていることだし……」
ここで、もう1人の少女が間に入って、場の雰囲気をなだめようとするが、どこか空回りがしていた。
「そうそう、そうだよね。君もそう思うでしょう」
再度、レモアは2人とは違う方向を見て、『彼』、『君』といった少女を指す違う形容を語っていた。
* * *
その光景を別の所で眺めている者達がいた。
中心には男性が2人、そして、周囲にはこれまた少女達が空中に映し出されたモニターで状況を監視している。
ここは空からの光が入らない部屋で、映し出されたモニターなどの人工の灯りが主に部屋を照らしているせいもあり、少し薄暗くなっている。
「まったく、敵地で休憩とは……」
1人の男性がレモアの発言を聞いてあきれ顔をしている。男は大柄で顔には年を感じさせ、さらに顎や口に無精ヒゲを生やしている。
名前はハヤミといい、そのヒゲの生えた顔だけでなく、だらしなく、よれた明るい茶系のスーツを着込んでいる。
「もっとも、敵地といっても敵がいるかわからないから、偵察に行かしているのだが」
「やはり、駄目ですか」
もう1人の男性、アキラはハヤミに対してそう訪ねた。
アキラは小柄で青年と呼ぶにはいささか年が足りない感じである。こちらも明るい茶系のスーツをしっかりと着てはいるが、スーツ姿がどこか身の丈にあっていないせいで不自然に感じてしまう。完全に少年である。
「……いや、あいつらは甘い物、香りのある物、それに綺麗なモノを好む。休憩というより、退屈なことをやめて、それらを楽しみたいだけだ。それを否定しては機嫌を損ねるだけだ」
周りの少女達も同様で様々な情報が映し出された無機質な機器の中でも、違和感のある甘い匂いが漂ってくる。そして、薄暗い部屋の中であっても色映えのあるお菓子が並べられていた。
「特にレモアの性格なら敵がいる中でも機嫌を損ねていれば、意地でも休憩をして、それでなおかつ敵まで倒すだろうな」
「……本当ですか」
明らかに冗談とも思える内容だが、ハヤミは見てきたかのように語るだけにアキラは確認のため、恐る恐る訪ねた。
「ああ。昔、近いことをしたヤツはいるからな」
ハヤミは昔のことを思い出して語っていた。そして、アキラはそのことを事実と受け止め、今後のために胸に刻み込んだ。
「……まだ敵がいない状態だが、お前に判断は任す」
「分かりました」
周りの少女達はアキラの方を向いていた。その発言が気になったからだ。
「休憩は構わない。気をつけるように」
アキラはその場にいない彼女達に命令をする。周りの少女達に向けた訳ではないが、喜んだ顔をさせている。
「……こちらも甘いな」
ハヤミは聞こえないようにつぶやく。
「ああ、お前達は気を抜かないように。あいつらの休憩をサポートするのだからな」
気の緩んでいる周囲にハヤミは言い聞かせる。
少女達は小さく不平を漏らすが、ハヤミの知ったことではない。それでもアキラはそのことに小さく申し訳ないと思う。
「しかし、この街をどうやって運んだのか」
モニターの1つには上空より撮られた、街の映像が映し出されていた。
だが、この街は元々そこにはなかった。それを示すようにほぼ円に切り取られていた街が何もない平地に置かれている。
そして、この置かれた街以外に周囲には高い建物はなく、ほぼ平面の大地が続くだけであった。
* * *
レモアはアキラからの声を確認すると、待っていましたと表情を明るくする。
それでも大きな声を上げないのは多少なりとも状況を把握しているからだ。
そもそも、アキラとレモア達の場所は離れている。それでも少女達にはその空間の差を埋める通信機器らしき物は見て取れない。
物騒な武器以外は身軽なモノで、ほとんど物を身に付けていない。
ただ、少女達の首の付け根には握りこぶし程度の球体状の機械部品らしきモノが体にフィットとするように身に付けられている。
通称、『コア』と呼ばれる機器で、エネルギー源でもあり、あらゆる情報を観測、収集する観測機器、その上、送受信する通信機器でもあり、それらの情報を管理する処理装置でもある。
つまりは万能なツール。
これによって、アキラと離れた場所であっても、通信でやりとりしている。
「許可も出たことだし、一杯やりましょう」
レモアはどこからか水筒を取り出した。
「まったく、用意がいいわね。どこにしまっていたの」
「ほい、ルリカ」
その問いに答えることはなくレモアはルリカと呼んだ方へと水筒から入れた飲み物を渡した。
「ああ、ありがとう」
ルリカは襟のついたレザージャケットを着込んで、その手には自分の背よりも長い、斧のついた槍、ハルバードと半身を隠すに十分な長方形の盾を持っていた。
顔立ちはクールな印象で、それを引き立てるように髪は黒髪で流れるようなストレートで、肩にかかるくらいのセミロング。
レモアからの飲み物をもらうのに、盾は地面へ置き、ハルバードは左手に持って、空いた右手で受け取った。
「はい、カレンも」
もう1人の少女、カレンはボディスーツから出る、平坦な体のラインを隠すように大きめな紺のトレンチコートを着つつ、腰にはきっちりとベルトで締めている。
背は一番低く、レモアとは目線を合わせるには上目遣いになってしまう。
幼さが残る顔立ちで、ショートヘヤーのせいもあって中性的な印象が受ける。その髪にはわずかに赤みかがっている。
「ありがとう」
カレンは飲み物を受け取ると、街の残骸に腰をかけて座り込んだ。そんなカレンにも武器を手にしている。
ただ、その大きさはカレン自身と同じぐらいの銃で、さらにその口径は彼女の腕の太さと同じくらいか少し大きいくらい。携帯していることからその武器を銃と形容したが、文字通りの大砲というべきモノを彼女は手にしている。
「……おいしいわね」
カレンはコップの中身を飲みながら、その色も味わっていた。味は甘く、それでいて香りがあり、酸味があり、そして薄い色だが存在感のある透明であった。
「……レモネードかな」
「そう聞いているわ。他の子からもらってきたから詳しくは知らないけれど」
レモアはそうつぶやきながら、ルリカは誰が作ったのかしらと思いながら、おいしく味わっていた。
「……しかし、いないわね」
物音1つしない廃墟を眺めながら、ルリカはつぶやいた。
廃墟とはいえ昔、人が住んでいた住み家。
だが、この廃墟は何処にあったのかも分からず、一夜にしてここまで運ばれてきた。しかも、それまで気づかれることなく、朝日ともに視覚によって発見された。
「こんな街をまるごと持ってくるとは……」
街は巨大な高層ビル群で構成されており、少女達にはこれを作った人間にもすごいと思っていたが、それ以上に無傷で運んだ、何者かの存在にも驚愕している。
「基地からも近いことだし、前線基地にでもするつもりかしら」
レモアは眺めながら、思っていた言葉にした。
「この程度の建物では隠れるには十分でも、砲撃から身を守ることはできないわね」
ルリカはその問いに現実的に答えた。
「なら、余計に何のために持ってきたのでしょうか」
カレンは問いに対して再度、話題を疑問へと戻した。そして、理由も分からない荒唐無稽なことにカレンは疑問を抱く。
「本当に彼らの仕業なのでしょうか」
「この静かな世界で奴ら以外にこんな滑稽なことをするとでも」
この世界には敵がいる。
それは少女達、ここに住んでいたかつての住人とはまた別物の存在である。むしろ、住人はその存在から逃げて、街を捨てた。
「昔、宇宙人は畑に巨大な落書きしたり、よく分からないけれど牛とかをさらったりしていたそうよ。多分、この程度のことは宇宙人なら簡単にできるわよ」
カレンはそんな敵とは違う、別の存在の可能性を話し出した。
その話のネタにレモアとルリカはお互い顔を見合わせて、一斉につぶやいた。
「「ないわ」」
彼女達にはカレンが言う、宇宙人という存在が知らないから特に奇妙奇天烈な話にしか聞こえず、ジョークにもならないホラに近いモノであった。
その言葉にカレンは少し落ち込みを見せた。
元々、カレン自体そういったお話が好きで、普通の会話からもそれらの存在が出てくることがあった。
「でも、それはそれで愉快な存在ね」
それでも、ルリカは一応のフォローは入れる。
だけれども、レモアは逆に真顔で持論を語りだした。
「敵というのは私たちよりも巨大で、愉快で、馬鹿げていて、いかれていて、それでいて知性的。そんな存在が、瓦礫の街に潜んでいても、姿形を見せないどころか、お尻や尻尾すら見せていないなんて、ありえないわ。きっと、何かをたくらんでこちらを見ているはずよ」
レモアは先ほどまでの退屈さを顔には出していない。どこか、敵に何かを求めているような感じも受けた。
答えの出ない会話も途絶え、しばらくの静寂の後、ルリカから話を再開させた。
「休憩も終わりにして、行きましょう」
「え、まだ――!!」
当然のようにレモアは抗議してきた。
「さっさと敵がいるか、いないかをはっきりさせないと、基地の仲間は心配で昼寝もできないわよ」
偵察である以上、敵の大群が隠れていれば、仲間が駆けつける段取りになっている。
ここでまったりしていては、そのことを待っている仲間から恨まれるだけである。
「まあ、それをいわれると仕方がないか」
レモアは自分本位というわけでないが、ただ自分に正直なだけである。
「目的地までは大した距離ではないわ。さっさと済ませましょう」
再び、3人は静かな廃墟を歩き始めた。
その静けさは街の中心部へ歩き続けても、変わることはなかった。
「中心部まで来たけれど、本当に何もないわね」
事前に空中撮影をした映像と同じように、瓦礫の山があるだけ。ただ、周りの高層建物は無事であるのに、中心部だけはあったはずの建物が崩壊して、この有様である。
「敵が隠れているなら、出てきても良さそうなものを」
「この街を持ってくるだけ持ってきたので、撤退したのでしょうか」
「多分、そうでしょうね。特に観測機器類に反応もないし」
カレンとルリカは周囲の状況を見聞きするだけでなく、コアにある観測機器も使いつつ調査もしている。
敵がいれば、当然観測機器に反応はするが、ここまで接近する必要はない。
元より、基地を出る前から様々な観測機器で敵がいないことは分かってはいたが、正体が分からないからこうやって偵察、調査に来ている。
それでも、この街を持ってきた何かヒントぐらいはあってもいいモノなのだが、それすら見当たらない。
レモアは中心部を見ながら、黙り込んでいる。その様子にルリカはレモアに話しかける。
「まだ休憩が足りないなら、あなたは休んでいてもいいわよ」
だが、レモアから返事がない。普通なら、うれしいそうに返事をするはずなのに。
「……この瓦礫が意味する物は」
その代わり、全然別の言葉を小声でつぶやいていた。
どうやら、レモアは調査というよりは、何か違和感を感じ取っているようだった。
だが、ルリカはそんなレモアを余所にカレンとともに調査を続けている。
「いや、そこはもう少し絡んでほしいのだけれど」
レモアはたまらず突っ込みを入れる。
「分かっているわよ。勝手に話していれば、聞いていてあげるから」
ルリカもルリカでそのノリに一応、答えて見せた。
「まあ、いいわ。1つ推理をすると、なぜ中心部だけ瓦礫なのか、そして、運ばれた街はほぼ円の形であるのか。その点から考えるに、中心部から何らかの力が働いたから」
「それはまあ、普通のことね」
ルリカはつぶやく。レモアからすれば、違和感の正体をつかんだというのに。
これ自体は普通に考えれば分かることで、中心を目指していたのもそれが理由だ。
それでもレモアは仕切り直して、会話を続ける。
「なら、力の中心部に何もないというのはおかしい訳よね」
「確かに何かしらの装置等があると思って、来ているのだから、それはおかしいわね」
「それに建物は無事なのに、中心部だけ壊れている。もし、力が働いたにしてももう少し周囲にも見られるはず。それでも、その様子ない。中心部だけ極端な力が働いた訳にしては、この状況も異質だわ」
「それで、その結論は」
「つまり、この瓦礫の山はおそらく偽装」
レモアは瓦礫の山に指を指している。
「ようするに、この中に何かある」
レモアは得意げな顔で答えた。
カレンはレモアの話す、その口調にわくわくさせていた。
ルリカは多少、納得しているが、どこか合点がいかなかった。
「理屈としては納得はいくのだけれど。何か、あなたの直感に取りあえず後付けした感じるのだけれど」
「失礼ね」
反射的にレモアは悪態をつく。
「ついでに聞くと、この街を持ってきた理由は。それ次第では話も変わるでしょう」
「こんだけの質量なら、十分な凶器でしょ」
「なるほど、その発想はなかったわ」
確かに、誰もが街が突如、現れるという不思議な現象で捕らわれていたが、ただ重たいモノを持ってきたと考えると、凶器とするその答えは意外にすっきりとするモノであった。
「それだと爆弾代わりにしても、それを実現するための護衛の敵はいない。逆に、隠密でやってきたにしても、こうして見つかってしまった。その考えは破綻しているのじゃないかな」
カレンは的確な反論を述べた。別にレモアとルリカのやりとりのようにケンカとまでいかない、じゃれ合いのような口論とは違い、ただ、自然な疑問から口にしていた。
「それでも、爆弾という線は理屈に合っているし、奴らの性格からすれば単純に詰めが甘かっただけともいえる」
ルリカもそう語り考え込む。なら、この場面どうするべきか。
それは一応、レモアも同じではある。そう、深く考えていない。
「とにかく、ここを何かあるのは間違いないだろうから、派手に吹き飛ばしてみれば分かることじゃないかしら」
レモアは含んだ笑いをする。
「そういうことよ」
レモアはまた、あらぬ方向を向いて語りかける。これは見えていないアキラに向けての会話だ。そして、アキラに対して提案の同意を求めている。
* * *
アキラだけでなく、その会話はハヤミにも筒抜けである。
「まったく……」
レモアの推理よりも、思いつきの発想にはいささか頭が痛くなる。
とはいえ、それを無視するほど荒唐無稽な話でもない。
「この中心に何かあるというのは思っていた。だが、反応もないから何もないと判断するのは確かに短絡的だ。楽観的なレモアに否定されては余計に疑うべきかもしれない」
このハヤミの発言もレモアにも届いていた。
「では、瓦礫を取り除いてみますか」
アキラは冷静だ。
レモアのノリノリな吹き飛ばそうという提案ではなく、きちんと瓦礫を取り除く案として理解しているからだ。
「いや、悠長に掘りおこすわけにも行かないだろう。先手としても、ここはレモアの提案を受け入れるのも有りだろう」
「それでは敵に気づかれる可能性もあります。それに何かあるにしても破壊してしまっては見つけられないことも考えられます」
「確かに吹き飛ばせば、相手の手札まで壊す可能性もあるが、相手が訳も分からない切り札を出される前にこちらがカードを切る必要もある」
「それもそうですが」
アキラは慎重に考えている。まだ、大胆さと大雑把さが持ち合わせていないから、単純な考えでは決断をできずにいた。
「レモアの考えにしても、推測でしかない。しかし、奴らは我々の想像を超えて、行動をしてくるかもしれない。奴らとはそういったことを平気でしてくるからな。ここは出し抜く意味でも、先手を打つことは悪いことではない」
それでもアキラは決めかねている。
「自分の常識で通用するような敵なら、慎重さは悪いことではない。だが、常識の欠けた同士、レモアの意見も参考にすることも、この場面では悪いことではない」
通信越しでも、レモアはこちらに悪態をついてきた。そして、その様子にアキラは決断をする。
「分かりました。ここは砲撃でいきましょう」
そして、それに加えて命令を続ける。
「それと敵の襲撃にも備え。各自、武器の展開を」
その言葉に少女達は従う。彼の言葉は少女達には絶対だから。だが、絶対とはいえ自由な意見で、その言葉を引き出そうとはしているが。
* * *
コアにはエネルギーを原子レベルで構築して、様々な形へと変化させるまるで太古の錬金術のような機能も持っている。
少女はコア内部に構築された情報の設計図を展開させる。その瞬間に手にしていた、巨大な武器は構造を書き換えられ、武器はさらに巨大化をする。
その長さ各自バラバラではあるが3m強、少女達の背丈の倍以上だ。
ルリカは接近武器だけに手に持っているが、カレンとレモアは手にすることなく、銃は宙に浮いている。
特殊な力場によって、浮遊させている。また、それはか弱い肉体を保護するためのバリアとしても使われる。
それに加えルリカの持つ盾はもちろん、レモアもカレンもそれぞれのスタイルに合った盾が展開されている。攻撃を防ぐ防具というよりは力場と併用して、攻撃をそらし、回避するための道具である。
先ほどまで着ていた服も収納されボディスーツのみとなるが、首元のコアもその大きさを握りこぶし程度から、競技用のボール程度に肥大化した。
そのせいもあり首元から背中の方へと球体は移動していた。
そして、脚部には排出口が付けられた、四角い機関が展開されて、足にまとっていた。高速移動、跳躍のための推進装置である。
これら少女の姿に似つかわしい、重兵装、機動力の装備は敵を倒すためのモノ。これでも敵には過剰な武器ではない。
そして、この姿こそ少女達、『ファミネイ』としての本来の姿。
敵によって疲弊した人類が作り出した人工生命体、新たな『親しき隣人』である。
大半は小柄な女性であるが、今となってはその理由は分からない。ただ、そういうモノだとして、今となっては少なくなった人類とともに共存しあっている。
のんびりと更新していきます。