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書店員が選ぶ、子供に贈りたい絵本【クリスマス編】

※挿絵が多く、データ読み込みに時間が掛かる場合があるかも知れませんがご了承下さい。

 街中が情緒的な音楽に包まれ、彩られたイルミネーションがキラキラと煌めくこの季節。

 何処もかしこも赤や緑に溢れた光景はまるで一つのアート作品の様にも見え、浮かれモードの周りとは違って、何だか心落ち着かず不思議な気分になる。しっくり来る言葉が見付からないが、この感覚は誰でも覚えがあると思う。

 そんな訳で先日、とある大学の通りに連なる樹木が気付けば華やかに飾り立てられ点灯していたのだけど、思わず「節電しろよ」と心中で突っ込んでしまったのは記憶に新しい。

 恋人が不在の者にとっては物寂しく、しかし子供達にとっては待ちに待った、幸せいっぱいのクリスマス。


 さて、かくも盛大に祝うクリスマスがいよいよ数日後に迫る訳だが、皆さん、プレゼントを忘れてはいないだろうか?

 「有り得ない?」いやいや、子を持つ親のうっかりを舐めてはいけない。クリスマスシーズンになると書店では毎年必ず、こんな会話やら問い合わせやら遣り取りがある。


「子供のクリスマスプレゼント用に本を探してるんですけどぉ、何か良いものありますか?」

「……ええと、お子様は普段どういったものを読まれてるのですか?(すっっっごい漠然としてるな!)」


 と、何をあげたら喜ぶのか分からないと悩む母親も居れば、


「これとそれ、内容は何歳向けかしら?」

「そうですねえ……、例えば自分で読んで欲しいのか、或いは保護者の方が読み聞かせるのか、それによって変わって来ますが如何でしょう?(シュリンク掛かってないんだから、自分で確認して欲しい……)」


 お孫さんに差し上げたいと張り切って厳選するお祖母様が尋ねて来たり、


「すいません!!! ここ、何時までやってますか!!!???(店頭&電話にて)」

「当店は深夜まで営業してますので、ご安心下さい(にっこり)」


 或いは物凄い息を切らして駆け込んで来る様々なお客様もおり、


「ごれかっでええええええぇぇ!!!(床上じたばた)」

「ダメよ! いい加減にしなさい!!」

「やあああぁぁぁ!!! かうっで、いっだでしょ〜〜〜っ!!!!??」

「ママがいつそんな事言った!? いい子にしてないとサンタさん来ないよ!!?」

「でもっ、だっで……ッ◯×△□☆♯♭*★※〜〜!!?(上に戻る)」

「「「「(うるせえ……)」」」」


 かと思えば、傍迷惑な親子がまるで自宅の様に店内で騒いでいたりと、クリスマスシーズンの書店は地獄絵図である。加えて先に挙げた例以外にも、平時の業務や接客も同時に行われる中、プレゼント包装まで対応しなければならないのだ。(これが最も大変!)


 それはともかく、実際子供の為にプレゼントを選ぶ際、「どんな絵本が良いのかさっぱり分からない」と唸る方はかなり多い。未だ文字も読めない位小さいなら、仕掛け絵本等に限定されるので然程悩む必要は無いだろう。けれど、物心が付き始める四、五歳にもなるとそうはいかない。

 ただでさえ大人しくじっとしていられない生き物なのに、折角買っても読むどころか興味すら示さない、何て事もあるかも知れないからだ。おまけに絵本はそこら辺の漫画や文庫よりも高く、どれも優に千円を超えるのだから全く洒落にならない。(勿論、比較的安いものもある)


 そこで、今回は実際に読者からも評判が良く、『ハズレが無い』と言えるプレゼントに最適な作品を十作紹介しようと思う。クリスマスシーズンなので主に季節物がメインだが、中にはもそれ以外も幾つか挙げている為ご容赦を。


 尚、今回は数が多い為、クリスマスとオールシーズン用に分けて投稿する。(同様の理由で書評は省きマス)

 では、先ずはクリスマスにお薦めしたい五つの物語について。





 


 ⑤『ちいさなちいさなおかしのまち』


 挿絵(By みてみん)


 ここはおかしのまち、1ちょうめえき。

 まもなくクッキーでんしゃが、はっしゃします!

 しまるクッキーに、こちゅういください。


 ガタンポリン、ガタンポリン……ポッポー!

 ポコポコは、クッキーきっぷをひとかじり。

 ガタンポリン、ガタンポリン……。


 つぎはにちょうめえき〜、2ちょうめえき〜。


 ここはフルーツマンションです。


 101は、りんこべや。

 202は、パイナップルべや。

 303は、マンゴーべや!

 じゃぐちをひねると、ジュースがでるよ!


 挿絵(By みてみん)


 ある朝、ポコポコはお菓子の町へ出かけることにしました。

 トコトコトコ、くんくんくん。

 お菓子の町はあま〜い匂い!

 さあ、クッキー電車にガタゴトゆられて、キャンディひろばでちょっと一休み。ケーキ工場では何を買うのかな……???


 ページをめくるたびにフワフワする、お菓子の断面図。ポコポコと一緒に、お出かけしよう!


 ▼

 ISBN:9784774612201

 作・絵:さかいさちえ

 出版社:教育画劇

 発行日:2011年12月





 ④『きつねのがっこう』


 挿絵(By みてみん)


「きょうは、いつものおべんきょうはおやすみにして、みなさんに、かんがえてもらいたいことがあります」


 そういってせんせいは、ちいさなしかくいものを、みんなにみせました。


「これはせんせいが、がっこうへくるとちゅうで、ひろったものです。いったいこれは、なんでしょう?」


 みんなはわいわい、がやがや……。


「あれって、このごろ、にんげんがみんなもってるやつじゃない?」

「そうそう、あるいているときも、とまっているときも、いつも、みているやつだよ!」

「いそがしそうに、てをうごかしてるよ!」

「なに、してるんだろう?」

「なんだろう?」

「なんだろう?」

「なんだろう?」

「わかんないなー」

「わかんない……」

「…………」


 とつぜん、せんせいがいいました。


「そこの、うしろの、きみ! ずーっとだまっていますが、どうおもいますか?」

「えーと、えーと、えーと……」


 挿絵(By みてみん)


 スマホを落とした人間の男の子が、きつねのがっこうで学んだことは? 本当に必要なこと、大切なものは何かを問いかける心に響く一冊。


「あなたは、どう思いますか?」


 ▼

 ISBN:9784061333024

 作:いもと ようこ

 出版社:講談社

 発行日:2016年10月06日





 ③『モモンガのはいたつやさんとクリスマスのおとしもの』


 挿絵(By みてみん)


「おや、かわいいてがみがとどいているよ。もうすぐクリスマスだなぁ」

『サンタさんへ、そらいろのそりください』

『ピンクのそりください』

『サンタさんへ、いい子にして、きいろのそりまってます』

『サンタさん、あかいそりちょうだい』

『どんぐりいろのそり、ほしいな』


 でも、あてさきをみて、こまってしまいました。


「とどけてあげたいけど、サンタさんのおうちって、どこにあるんだろう?」


 モモンガさんがつぶやいた、そのときです。


「サンタさんのおうちなら、ぼく、しってるよ」


 だれかがはなしかけてきました。モモンガさんがふりかえると……おおきな、つのがあるどうぶつがいました。

 モモンガさんはびっくり。

「きみ、サンタさんをしってるの? このおてがみを、サンタさんにわたしてくれない?」

 すると、そのどうぶつのめから、なみだがこぼれました。


「ぐすんぐすん、ぼく、おうちにかえれなくなっちゃったの……」


 挿絵(By みてみん)


 モモンガさんは森の配達やさん。クリスマス前のある日、ポストにサンタさんあての手紙が届きました。けれど、サンタさんのおうちの場所が分かりません。困っているモモンガさんの前に、サンタさんのおうちを知っているというトナカイさんがあらわれました。

 でも、トナカイさんは空を飛べる帽子を落としてしまって……。

 モモンガのはいたつやさんシリーズ、三作目。


 ▼

 SBN:9784799901908

 作・絵:ふくざわ ゆみこ

 出版社:文溪堂

 発行日:2016年10月26日





 ②『センチメンタルサーカス』


 挿絵(By みてみん)


 深と静かな、星月夜。

 耳をすませば、懐かしき、あの日忘れた、ダレかの囁く声がする。


 ガラクタだけが知っている。

 秘密の丘の、テント小屋。

 さあ、幕を開ける準備はできた?


 さようなら、おひさま。

 また明日。

 今夜もどっぷり、日が暮れる。

 真っ暗、屋根裏、部屋の片隅。

 静かな夜の、街の路地裏。


 おんぼろおもちゃの夢の島。

 ガラクタたちが、目を覚ます。


 こっそり街を、抜け出して。

 眩い明かり、丘の上。

 手作りテントを組み立てて、幕をひとふり、閉めたなら。


 ガラクタ、新品、ドコカのドナタも、

 待ちに待ってた、ショウタイム。


 挿絵(By みてみん)


 人気急上昇中の「センチメンタルサーカス」の絵本第一弾。

 シャッポ団長が、仲間を集めて不思議なサーカスを開きます。真夜中に始まる団長シャッポと仲間達が織りなす秘密のベールに包まれたサーカスの世界がついに明らかに!

 全ページ、筆で描き下ろしされた渾身の作品、センチメンタルサーカスのめくるめく絵本の世界。


 ▼

 ISBN:9784391141115

 著:市川 晴子

 出版社:主婦と生活社

 発行日:2011年12月





 ①『ふゆじたくのおみせ〜おおきなクマさんとちいさなヤマネくん〜』


 挿絵(By みてみん)


 ふたりは、ふゆじたくのおみせにやってきました。

 もりじゅうのみんなも、きています。

「どんなものを、うってるのかな?」

 うりものには、ねふだがついています。


「いものつめあわせ、おいしそう! ねだんは、どんぐり100こか……」

 アナグマくんがいいました。


「ふゆごもりのあいだに、よむほんがほしいな。どんぐり50こか……」

 モグラくんがつぶやきました。


「おひめさまみたいなベットみたいなクッションだなぁ。どんぐり70こか……」

 カエルくんがためいきをつきました。


 挿絵(By みてみん)


 秋の森に開店した「ふゆじたくのおみせ」では、どんぐりと交換で品物を買うことができます。贈り物をしようと、おみせに買い物に行くクマさんとヤマネくん。

 おおきなクマさんににあいそうなおおきなセーターの値段は、どんぐり500こ。小さなヤマネくんに似合いそうな、小さな赤いチョッキの値段は、どんぐり50こです。

 それをお店で見たヤマネくんとクマさんは、森の中へ走って行き、一生懸命どんぐりを拾っています。


 ヤマネくんは、「ないしょだよ。ぼくは、クマさんにセーターをプレゼントするんだ」とモグラくんとカエルくんにうちあけました。

 クマさんはアナグマくんに、「ないしょだよ。ぼく、ヤマネくんにチョッキをプレゼントするんだ」と話します。


 ふたりは、ようやく集めたどんぐりを持って「ふゆじたくのおみせ」へ急ぎました。ところが、お店の前には「うりきれ ありがとう」という看板が……。

 二人の交流を描いた、心あたたまる一冊。


 ▼

 ISBN:9784834006353

 作・絵:ふくざわ ゆみこ

 出版社:福音館書店

 発行日:2003年09月




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