閑話7 私の本当の気持ち
赤髪の剣狼ことエルナと話をして考えた。
私は一体、どうしたいのか。
最初はただ不思議だった。
アキト=カゼミヤという男の存在をアリアに教えてもらったのが始まり。
アリアは随分とアキトのことが気に入っていて、それもまた不思議だった。
私の知っている騎士は、そう、クロム様のような人。
強くて、志が高くて、騎士の誇りを持っている……そんな人。
アキトも同じ騎士だけどクロム様とは逆で、あまり強くないし、志も低いし、騎士の誇りもない。
それなのに、なぜだか彼のことが気になっている。
私にはわからない、理解できない部分のある彼が、私を惹きつける。
そんなことないはずなのにね。
色々な人がアキトの事を話すし、アキトが気になったりしている。
アリアみたいに愛弟子としてだったり、ウォレスタ国民みたいに優しい若騎士としてだったり、クロム様みたいに同じ匂いのする人としてだったり色々ある。
だからかな、私も気になり始めたのは。
どうなんだろ、わかんない。
でも少し違うな。
あの人は自分のために自分を傷つける人。
それを人に見せたくない人。
だから、人よりも弱くて脆い。
折れた心をそのままにしておく人だから、いつか限界がくる。
私は、彼にそうあってほしくない。
他人の幸せのために、ちゃんと自分も幸せにできる人になってほしい。
きっとその力を彼はもっているはず。
「……なんで私、こんなに考えてるのかな」
やっぱり不思議。
どうしてこんなに考えるのかな。
自分のもやもやとした感情を綺麗にしたいから?
それともアキトの事を想って?
わからない、いや、どうなのかな。
私の憧れはクロム様。
クロム様こそ本当の騎士であり、勇者として在るべき人。
それに間違いはないはず。
今まではクロム様と一緒にいれればそれでよかったのに……
「あー、駄目よねこれじゃ。
なんだか自分でもわからなくなっちゃってる」
リノシアで私が魔力暴走を起こしたときに助けてくれたのがアキトと知って、尚更ごちゃごちゃしてきた。
さらに今回はあれほど危険だと言った紅い魔晶石を使って、下手をすれば死ぬかもしれない賭けをした。
私がどれだけ心配してるかわからないのかな。
……心配?
そう、か。
私は彼を心配してるのよね。
絶対的な力を持つクロム様とは違って、人間的に弱いアキトのことを私は心配している。
でもどうして?
彼に何かあったら困ることでもある……?
困ることは……ある。
多分、彼に何かあったら、私が辛い。
もしも今回、紅い魔晶石のせいでアキトが死んだら自分を恨むはず。
あの時ちゃんと警告しておけばよかったなんて過ぎ去ったことについて責める。
保身のようだけど、そうじゃない。
彼は私と似ていて、似ているからこそ私は彼のことを考えている。
それだけアキトのことを――
「……そういう、ことなのね」
多分、そういうことなんだろう。
確証はない、でも答えは直にやってくる。
いや、もうすぐそばに来ている。
「……ちゃんと向き合わないとね」
ゆっくりと足音が近づいてきて、やがて扉が開かれる。
きっと私が待っていた人に違いない。
だから、ちゃんと向き合わないといけない。
私の本当の気持ちと。
今回は短めです
次回、その分盛り込むつもりです。




