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マジ無能力で異世界転移したけど世界を救うために頑張ります!  作者: 鷲鷹 梟
第2章 遥かなるアイントラハト
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第41話 ライトニング マジック

「クロム様……!

 これの騒ぎは一体……」


 フュネイト城の騒ぎに待機していたフレデリカも驚いている。

それもそうだ、こんなことになるとは誰も予想していなかったのだから。

だというのにも関わらず、女王の命令からわずか数分で兵士達の準備はおおよそ整っているという状態だ。

なんという結束力……


「フレデリカ!

 どうやら魔族が攻めてくるらしい。

 俺も半魔族の傭兵として参戦する」


「私も出ます。

 騎士の一人としてこの事態を見逃すわけにはいきません」


「……わかった。

 女王には後で俺が説明する。

 もう兵士が出るから俺たちも行くぞ」


「はい、クロム様!」


 魔物の数は確か数千と言っていた。

フュネイトからどれだけの兵士が出るかわからないが、魔物個々の戦闘力は低い。

俺やフレデリカもいることだし、あまり苦戦することはないだろう。

しかし、万が一ということもある……気は抜けないな。

フュネイトの平和のためにも、この戦いに負けるわけにはいかない。


 しばらく移動し、魔物が攻めてくるであろうルートに簡易的な砦を造る。

魔物の移動能力はあまり高くないので、こちらに攻めいるまでに時間がかかるだろうから、迎撃できる体制は整えておくべきだ。

俺も半魔族の兵士に混じって砦の製作に助力する。

兵士全員で協力すれば一日ほどで簡易迎撃砦砦は完成するだろう。

それまでに魔物が攻めてこなければいいが……





 砦の製作に取りかかってから一日が経った。

簡易迎撃砦は完成し、迎撃用の武装もある程度は整いつつある。

交代制で作業はしていたが、それでも兵士に疲れが見えるのは仕方がない。

ずっと作業を続けていればそうもなるだろう。

魔物が攻めてくるまでにできるだけ体力を回復しておきたいところなのだが、そう簡単にはいかないようだ。


「魔物を数キロ先に確認!

 各自、戦闘態勢を整えろ!」


 観測者であった虎の半魔族が言った。

すると今までの空気とは打って変わり、兵士が騒がしく動き出す。

俺も剣を装備し前線部隊に合流。

そこにはフレデリカの姿もあった。


 竜鳴渓谷を調査した時は、この武器を振るうことはなかった。

しかし、今回は違う。

魔物の数が多い今、俺の力が必要とされている。

ならば行使するしかないだろう、この力を。


 武器を構えてその時を待つ。

やがて遠方に黒い波が見え始めた。

数えるのも面倒になるくらいの魔物が、こちらへ押し寄せている。

目視できる距離になると、半魔族の魔法攻撃部隊が攻撃を開始。

炎、雷、氷、光……さまざまな種類の魔法が打ち出され魔物を消滅させていく。


 しかし、魔物はその攻撃に対して怯む様子もなく進軍する。

人間とは違い、周りの仲間が倒れようとも関係なし。

ただひたすらに目的のために動くその姿はおぞましい。

魔法部隊の攻撃が止むことはないだろう。

だが、それをくぐり抜けた魔物がいるのも確か。

それを俺たち近接戦闘部隊が迎え撃つ。


 近接部隊全体に緊張が走る。

魔物がある一定のラインを越えた瞬間、俺たちは一斉に駆け出さなければならない。

もしも一瞬でもタイミングを逃せば、それだけで攻め込まれる隙となりかねないのだ。

だから一秒一秒に全神経を集中させる。


 あと五秒……

四、三、二、一……!


「全軍!

 魔物へ向けて進軍せよ!」


「「「うぉぉおおおおおお!!!!」」」


 半魔族の指揮のもと、一斉に魔物へ駆け出した。

皆が皆、己が武器を持ち魔物を攻める。

部隊と魔物は衝突。

それぞれ魔物たちと戦闘を繰り広げる中、俺は魔物を斬り捨てながらさらに奥へ向かっていく。


 俺の真価が発揮されるのは、敵の数が多いところだ。

味方がいる分には問題ないが、数を減らすためにできるだけ効率をよくしたい。


「よし……!

 やらせてもらうぞ!」


 剣を天に掲げ、円を描く。

鍔に埋め込まれた魔晶石が輝き、光を放つと、空の円は魔法陣となった。

やがてその魔法陣は稲妻を放ち雷鳴を轟かせる。


「雷鳴刃!!!!!」


 腕を振るうとともに、魔法陣から幾多の雷が放出された。

一体に命中すれば、その周りにも攻撃が伝わるのがこの雷鳴刃。

魔物が多ければ多いほどその威力は伝染・分散しその破壊力を高める。


 そして、俺の持つ力により味方には一切ダメージがない。

それどころか味方に雷鳴刃の雷が当たれば、疲労回復と一時的に攻撃力を高める加護まで付加することができるのだ。


 俺の雷鳴刃を受けて、魔物たちは目に見えてその数を減らしていく。

それでも攻撃を掻い潜る者がいるので、そいつらは自らの剣撃で倒すのが俺のやり方だ。


「そうだな……

 こいつもやっておくか」


 再び魔晶石が輝き、魔法の準備が整う。

俺は左手を魔晶石にかざし、手のひらで魔力を受け取ると、そのまま地面に投げるような動作をした。

すると、手のひらから放たれた魔法陣が地面で大きく展開する。

同時に、魔物が魔法陣へ足を踏み入れた。

ビンゴ。


 魔法陣へと足を踏み入れた魔物へ、電撃が放たれた。

これは設置型の魔法で、広範囲に電撃を放つことができる。

魔物はあまり賢くないので、この設置型魔法にいとも簡単に引っかかるのだ。


 この二回の魔法で、かなりの数魔物を減らすことができる。

残った奴は半魔族と俺たちで十分処理が可能だ。


「す、すげえ……

 あの数の魔物を一瞬で……」


「なんて威力の魔法だ!

 こんな魔法は今までみたことねえ!」


 今の様子を見ていた半魔族の兵士が声を上げる。

それはそうだろう。

この魔法は俺にしか使えない、俺専用の魔法だからな。


 雷の魔法は多く存在するが、電撃を分散させたり魔法陣を設置させることができるのはこの世界で俺だけ。

ここでは使うことはないだろうが、さらにとっておきの魔法も存在する。


「さぁ! 魔物の数は減らした!

 残った奴らを叩き、女王に勝利を謙譲するぞ!」


「「「おおおおおおおお!!!!」」」


 兵士の士気を高め、再び魔物と交戦する。

思っていたよりも楽な戦いになりそうだ。


 だが、一つ気がかりなことがある。

本当にこれを察知したのがアキトなのかということ。

そして、これを生み出したはずの魔族が未だに現れないことだ。


 魔族の幹部をアキトが倒したということは考えにくい。

見るからに戦闘力は低そうだったからな。

だとすれば、アキトと一緒にいるもう一人の人間が?

誰だかわからないが、それを成せるならそうとうな実力者だ。

この数の魔物を生み出す敵を倒せる人間など、そう存在しないはずだが……


 まぁいい。

今はとにかく魔物を殲滅するがのが先だ。

どちらにせよ、後から結果は訪れるのだから。

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