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マジ無能力で異世界転移したけど世界を救うために頑張ります!  作者: 鷲鷹 梟
第2章 遥かなるアイントラハト
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第38話 巨斧のバルドルフ

「よし。

 作戦開始ミッションスタートだ」


 そう言って俺はエルナに指示を出した。

エルナと俺が二手に分かれ、まずは俺が魔族三人の前に姿を現す。


 俺は慎重に森の中に身を隠しながら、慎重に魔族へ接近。

そして、限界の位置まで近づいてから、飛び出す。


「話は聞かせてもらった!

 ここから先は、俺が通さねえぞ!」


 無論、奴らの話など聞いていない。

はったりをかます勢いで、とりあえず俺はお前らの敵であることをアピールする。


「あぁん?

 なんだぁお前は?」


 ワニ頭が俺に言う。

一昔前のヤンキーみたいだな、お前。

でもこういう風な奴がいるのは都合がいいぞ。


「お前らの作戦は筒抜けってことだよ。

 とにかく、ここでその作戦は阻止させてもらう」


 俺は剣を抜いて構えた。

魔族の三人は特に慌てる様子もない。


「どうするバルドルフ?

 この子、一応殺しておく?」


 青肌の魔族がバルドルフと呼ばれた巨大な魔族へ問う。

バルドルフはゆっくりと頷き、一歩前に出た。

剣を握る手に力が入る。


「怖がることはない、ノーマン。

 オレはお前を殺すだけだ」


「それが怖いっての……

 まぁいい、こいよ、デカイの!」


 俺は剣を構えたまま走り出す。

それに合わせてバルドルフも駆け出した。

デカいくせに意外とは早いじゃねーか、こいつ。

でも第一段階は成功、第二段階はエルナに頼むぜ。


 走りつつ振り向くと、バルドルフはきっちり着いてきている。

そして、残された二人の魔族の前にはエルナが立ちふさがっているのが見えた。

よし、第二段階もうまくいったみたいだな。

後は、俺が頑張れば作戦は完璧。

走るスピードが上げるが、バルドルフもそれに合わせて走るスピードを上げる。


「……なるほど、遊ばれてんだな」


 やろうと思えば追いつけるだろうバルドルフが、あえて俺と一定の距離を保つように走っている。

何を考えているかわからないが、ここで俺を攻めなかったことを後悔するぞ。


 俺はある程度走ったあと振り向き、バルドルフの前に立ちふさがる。

バルドルフはゆっくりと走る速度を落とし、俺と睨み合うようなかたちになる。


「どうした、ノーマン。

 追いかけっこは終いか?」


「……あぁ、ここからは追いかけっこじゃねえ。

 俺とお前で正々堂々の戦いだ」


「そうか。

 邪魔をされぬように二人と距離を離したというわけか。

 その心意気、気に入ったぞ」


 邪魔をされないようにというのは間違いではない。

俺とお前の戦いの邪魔ではなく、俺の作戦の邪魔になるから距離を離したわけなんだが……

まぁなんかいい方に捉えてくれてるから助かる。


 バルドルフは手を空に掲げ、魔法陣を生成。

土色の魔法陣からゆっくりと何かが出現し、バルドルフはそれを魔法陣から引き抜く。


「……なんだ、そのデカいの」


「これはオレの愛斧だ。

 オレにこれを使わせるのだ……

 楽しませてくれぬと困るぞ、ノーマン!」


 バルドルフが召還した愛斧。

それは巨大なバルドルフの身体よりも大きく、刃だけで俺の背丈くらいありそうだ。

これで攻撃されたらひとたまりもない。

一度でも攻撃が当たれば、死。

わかりやすいルールで助か……らねえよ。


 バルドルフが巨斧を振るう。

それも片手である。

化け物だな、アイツ・・・・・・


俺は予備動作を見て回避を試みるが、斧が地面を叩きつけた瞬間、身体のバランスが崩れる。

この斧、なんて重さだ。

地面が揺れたぞ、今。


 体勢を整えようとした瞬間、バルドルフが目の前にいるのがわかった。

気づいた瞬間には遅く、奴の拳が俺を殴りつける。

まるで鉄球が直撃したかのような重い一撃に、俺はかなりの飛距離吹き飛んだ。


 地面を転がり、砂まみれになってしまう。

よく見ればそこは砂地で、森から砂浜まで吹き飛ばされたようだ。

海岸が近いと思っていたが、まさかこんなにも近いとは。

いや、俺が吹き飛びすぎたのか?

どっちでもいい。

とにかく、今はバルドルフの相手をしなければいけない。


 全身の痛みに涙目になりながらも立ち上がる。

あちこち擦りむいてるし、まだ一撃しか攻撃を受けてないのにこのザマだ。

体格差のある敵との戦いがこれほど辛いとは。

だいたい、ゲームやアニメだとデカい敵は動きが遅いのが鉄則だろ。

アイツ、早いじゃん。


「どうした、ノーマン。

 まだ地に伏すのは早いぞ」


「あ、あぁ、勿論だ。

 まだまだ遊び足りないからな」


 剣を構え、バルドルフへ向けて走り出す。

砂浜なので足を取られてしまうが、この場合は俺よりも相手の方が地形の効果を受けやすい。


「それでこそだ、ノーマン!」


 バルドルフは斧を構えるが、砂に足を取られうまく力が入っていないように見える。

今なら完全な威力で攻撃はできない。


「うぉぉぉおおおらああ!」


 剣を両手で持ち、すれ違いざまに斬撃を浴びせる。

相手の鎧の隙間を狙ったつもりだが、どうやらズレて結局鎧に当たってしまったらしい。

これではノーダメージだ。


 バルドルフは俺の接近に合わせて斧を振るおうとしていたが、やはり身体がうまく動かないようだ。

しかし、それをカバーする術は持ち合わせている。


 俺がすれ違いざまに斬撃を与えた瞬間。

バルドルフは身体を捻り、斧を持っていない方の手で裏拳を放った。

砂による脚の動きすら予測しているようで、その拳は完璧に俺を捉えた。


 左肩と左腕に強烈な打撃。

斜めに吹き飛び、地面を跳ねるように転がる。

腕が折れたのか、それとも神経が麻痺したのかわからないが、動かない。

一撃一撃が重すぎてやばい。

このままだと、本当に死んでしまうかもしれない。


「やっぱ……やるしかねえか。

 ちょっと予定よりも早いけど、何とかなるだろ!」


 俺は左腕を押さえながら立ち上がり、バルドルフを見据える。

相手も俺の覚悟を感じたのか、武器を構えるのを止めた。


「そうか。

 まだ終わりではないのだな、ノーマン。

 ならば見せてみろ、力を」


「あぁ、見たけりゃ見せてやるよ。

 俺の完璧な作戦をな!」


 これで、作戦は成功だ。

あとたった二回の動作で俺の作戦は成功する。

俺の命を引き替えにしても、フュネイトへこの事を知らせてみせる。

それが俺の、覚悟だ。 

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