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マジ無能力で異世界転移したけど世界を救うために頑張ります!  作者: 鷲鷹 梟
第2章 遥かなるアイントラハト
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第33話 今の自分に出来ること

 夜も更けてきた頃、フードの女性は目を覚ました。

俺とエルナを見て驚いた様子を見せる。


「よかった、目を覚ましたんだ。

 ずっと寝たままだったらどうしようと思ってた」


「……あの、私はどうして?」


「森で倒れてたのよ。

 どうしてかわからないけど」


 エルナが言うと、女性は何かを思い出したかのようにハッとする。

そして俺を見ると、訴えるように叫んだ。


「そうだ、私はここにいる時間なんてない……!

 早く行かなくちゃ……!」


「おいおい、行くって何処にだ?

 もう夜遅いし、外は危ないぞ」


「そんなこと言っても、時間がないんです!

 一刻も早くフュネイトに行かないと……」


「俺たちもフュネイトを目指してる。

 出発は明日でも大丈夫じゃないか?」


「で、でも!」


 フードの女性は中々引き下がらない。

ここまで自分の意見を押し通そうとするってことは、何かあるだろう。


「ねぇ、どうしてそんなに急いでるのよ。

 あたしたちにも聞かせて」


「……実は、魔族がフュネイトへ進行してきてるらしいんです」


「魔族が?

 どうしてこんなとこに来るのよ」


「私は魔族に捕まってました。

 そこで聞いたんですが、魔族は半魔族の能力を必要としています」


「半魔族の能力で優位に立とうってわけね。

 人間も魔族も考えることが同じ」


 魔族が半魔族の能力を狙っている?

どういうことだ?


「……説明が必要そうな顔してるわね。

 まぁいいわ。

 半魔族はね、特殊な能力を持ってるの」


「特殊な能力?

 魔力の探知じゃなくてか」


「それとは別に個々に持ってるのよ。

 透視だったり、未来予知だったり色々。

 魔法も使えるけど、これは魔法とは別の力よ」


「なるほどな。

 その力を魔族は悪用するつもりでいると」


 フードの女性は頷く。

どうやら彼女はこの情報をフュネイトへ伝えるために急いでいるらしい。

だとすると少しおかしい点がある。


「でもどうやって逃げ出したの?

 捕まってたんでしょ、あなた」


「……」


「言えないのね、別にいいけど。

 で、どれくらいの時間で魔族は攻めてくるのかしら」


「……数日以内です」


 その場にいた俺とエルナが凍りついた。

あと数日以内に魔族がフュネイトへ攻めてくる。

それが事実なら、今すぐにでもフュネイトへ向かわなければ、間に合わない。

ただでさえ迷ってるわけだし。

いや、急いでも情報を伝えるのは難しいだろう。


「無理よ。

 魔界からじゃ距離がありすぎるわ」


「魔族は、海から攻め入るつもりです。

 海底洞窟を通って大陸に上陸し、魔物を生成して……」


「待って、海にはクラーコフがいる。

 それでどうやって……!」


 言いかけた時、エルナが何かに気づいた。

そして納得した表情を浮かべ、フードの女性を見る。


「もう上陸済みってことね……

 あなたは魔族と一緒にフュネイトへ向かう最中だった。

 でも、魔族は海でクラーコフに襲われた。

 生き残りが上陸して、もう進軍の準備をしている。

 あなたはクラーコフに襲われた時、隙を見て逃げたのね」


「……そうです」


 エルナ、天才か?

あの少ない情報からよくわかったな。


 魔族は魔物を生み出す事ができる。

そのため、進軍の際は多くの魔族が移動する必要がない。

幹部クラスが二人とある程度の実力を持つ魔族が数人いれば国を落とせるとアリアが言っていた。


 魔法陣から魔物は生成されているともアリアは言っていた。

現地で魔法陣を作り、そこから兵士を生成すればいいから少数で動けるのだ。


「でも、魔法陣を生成するときにバレるわ。

 魔力を探知されたら……」


「それは不可能だと思います……

 魔族は魔力をほとんど必要としない魔物の生成を可能にしました。

 実験も成功しています」


「ウォレスタとリノシアの時ね。

 なるほど、だから国が感知できなかった……」


「待ってくれ。

 それはわかったけど、なんでそれを俺たちに教えてくれるんだ?

 何か企みでもあるのか?」


 何かを企んている可能性は低いだろうと思っている。

もしも何からしの企みを持っていたとしたら、これほど急いでフュネイトへ向かおうとしないはず。

森の中で倒れていたのは作戦かもしれない。

しかし、だとしても不自然すぎるのだ。


「私を含む何人かの人間と半魔族が連れてこられていました。

 クラーコフへの囮、そして人質要因としてです。

 生き残ったのは私と、もう一人だけ

 その一人も、途中で……」


「そう……か」


「お願いです、時間が無いんです!

 早く何とかしないとフュネイトだけじゃなく、人間界まで……!」


 涙ながらに訴えるフードの女性。

この子を信じられるか、わからない。

しかし、本当にフュネイトが攻め入られるとしたら……?


 勇者様とフレデリカが向かっているとしても、不安な部分はある。

フレデリカの暴走や相手の戦力がわからないことだ。

相手の戦力がわからないことは大したことではない。


 フレデリカの暴走が俺は心配である。

敵味方関係なくあの魔法で攻撃してくれば、フュネイトは地獄と化す。

あの魔法の危険度は、よく知っている。

そして、フュネイトを地獄にしたのは自分だとわかったフレデリカはどうなる?


……俺はもうあの人に、悲しい顔をしてほしくない。

これは俺の自分勝手な考えだ。

自分でも不思議だ。

でも、そう思うのだから仕方ない。


 今の俺が、今の俺だけが出来ることがある。

かなり危険だが、これしか方法はないだろう。


「わかった。

 俺たちも協力する」


「……ねぇ。

 そう言うからには作戦の一つや二つ、あるんでしょうね」


 エルナが俺に言う。

睨みつけるようにこちらを見ているが、臆するわけにはいかない。


「大丈夫。

 策はある。

 俺を信じてくれ」


「……わかったわ、信じる」


 フュネイトへは攻めさせない。

絶対に、俺がそれを阻止してみせる。

絶対にだ。

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