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マジ無能力で異世界転移したけど世界を救うために頑張ります!  作者: 鷲鷹 梟
第2章 遥かなるアイントラハト
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第27話 慕われるということ

 フレデリカの防具トークは大体一時間くらい続いた。

途中からは防具の歴史について語られ、勉強になったような気さえする。

しかし、俺も俺で仕事があるので何とかいい具合に話を誘導して民間区へと辿り着いた。

……まぁ、その道中でさえ防具トークが繰り広げられていたのだが。


「ここからが民間区です。

 王都に住む人は基本的にここにいますね」


「頑丈な扉と壁で隔離されてるわけね。

 話には聞いてたけど、確かにある意味では安全かも」


「昼間は開放されてますから。

 夜は閉めちゃいますけど」


 そう言って民間区へ入る。

正面に民間広場があり、よく子どもたちが遊んでいるのだ。

今日も見慣れた顔が何人かいて、俺を見つけるとすぐに声をかけてきた。


「あ、きしのにーちゃんだ!」


「おう!

 今日は何して遊んでるんだ?」


「今日はね、たたかいごっこ!

 オレもしょうらいはきしになるんだー!」


「お、いいねぇ。

 未来の騎士さんと今の内に仲良くしておこうかな」


「あ、それと母ちゃんがなべのことよろしくだって」


「勿論、任せておけって!」


 親指を立てその場を後にする。

今日も元気でなにより。

いつもこの広場から見回りを始めている。

子供の元気具合は隠せないので、何か問題があるとすぐわかるのでありがたい。


 広場から西へ行くと、住宅の並ぶ通りに出る。

父親が働いてる家だと、大体女性はこの時間に家事を済ませてしまう。

今日は天気がいいので洗濯物がよく乾きそうだ。


「あ、若い騎士さんじゃない。

 この間はありがとうねー」


 一度国騎支援所に来てくれた女性に声をかけられた。

たしか、害虫退治をした時のお客さんだな。


「どうも、おはようございます。

 その後はどうですか?」


「いい感じよ、ホントに!

 でもミルクが虫に効くなんてねぇ……」


「アブラムシだと薄めた牛乳で大丈夫ですね。

 今トウガラシを使った新しいものを作ってるので、完成したらお届けしますよ」


「あら本当?

 助かるわぁ、ありがとね!」


 実家で爺ちゃんから聞いた害虫対策がこんなところで役に立つとは。

トウガラシで作る虫よけは、トウガラシをお酒……大体は焼酎だ。

焼酎にトウガラシを漬けておいて作るため、少し時間がかかってしまうのが難点。

アルコール度数が高ければ問題ないので、ある程度のものを代用して今回は作った。

来週には完成するはず……


「お、この間のあんちゃん。

 元気しとったかいな」


「おー! ゲンさん!

 どうもです!」


「あんちゃんのおかげで屋根の修理が捗ったよ。

 またなんかあったら、お願いなぁ」


 こうして見回りをしていると、知り合った人達が声をかけてくれる。

若い人から、それなりに歳の取った人。

いろいろな人が支援所には訪れる。

年代に応じて依頼の内容も変わってきて、それぞれの年齢層が抱える問題もわかった。

報告書にまとめるのが楽しみである。


「アキトさん、随分慕われてるのね。

 なんだか、騎士って感じはあまりしないけど」


「まぁ、そうですね。

 騎士は戦うのが仕事だったりするので、なかなかこうして人々と触れ合えないですから」


 これはまぁ、仕方のないことだろう。

フレデリカに限らず、騎士という職業に就いている人は大体プライドが高い。

騎士という立場にいるから誇りを持たなければならないと考える人が多数だ。

だから俺みたいに人々に寄り添うかたちで仕事をしている者は、大体下に見られる。


「……まぁ、アキトさんはそういうタイプよね。

 でも、騎士なんだからある程度お仕事は選ぶべきじゃない?」


「まぁそうも言ってられないですよ。

 国があるのは国民のおかげでもあり、騎士のおかげでもありますから。

 お互い仲良くしていかないと」


「……そう、ね」


 うん、あんまり共感はしてもらえないよね、知ってた。

共感してくれるのアリアくらいだもんなぁ。

建前上「騎士としての誇りは持つべきだ」と言ってるけど、ちゃんと国民のことを見てくれている。

この辺りもゆっくり改善していきたいものだ。


 そうしている間にも、民間区の見回りは終了した。

今日も異常なし、平和である。

あとは帰って鍋の修理をしなければ……


「もう見回りをおしまい?

 じゃあ後は支援所に戻るのね」


「そうですね、不在時にお客さんが来てるかもしれないですし。

 まだ鍋の修理も終わってませんし」


「そういえばあったね、鍋」


「忘れられないですよ、鍋。

 フレデリカさんはどうします?」


「んー、折角だしもう少し見ていこうかな。

 ちょっと面白いし」


「わかりました。

 じゃあ、戻りましょうか」


 フレデリカが俺の仕事を見てどう思っているかわからない。

騎士らしくない騎士として見られているのは間違いないだろう。


 しかし、今俺はこの状態で結構満足しているのだ。

騎士らしくない騎士だからこそ、俺を頼りにしてくれる人もいるのも確か。

自分を頼りにしてくれる人を裏切りたくないと思ってしまうのは、騎士らしい誇りだと俺は思うのだ。 

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