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 閑話2 酔いどれ騎士、キャラ崩壊する。

「この後、酒でも飲みに行かないか?」


 修行終わり、そろそろ帰ろうと支度していたらアリアに呼び止められた。

残念だが俺はまだ18最。

未成年なのでお酒は飲めない。

……これは俺の世界でのルールだが。


「あー、俺、まだ酒飲めないんですよ」


「ああ、じゃあ、酒は飲まなくていい。

 一人で行くのも退屈でな」


「そういうことなら、ぜひ」


 というわけで、アリアと二人でウォレスタ王都の酒場へ向かった。

大衆向けの酒場であるため、身分など関係なしというような感じの客層である。

騎士も、半魔族も、皆ここでは平等なのだ。


「いやぁー、やはり酒はうまい!

 疲れている時はなおさらだ

 すまーん、もう一杯! おかわりー」


「あ、アリアさん!

 飲み過ぎると明日大変ですよ!」


「いーんだって。

 大丈夫大丈夫ー」


 そう言いながらアリアは木製のジョッキに入った酒をグビグビと飲む。

アリアの飲むペースは早く、既に六杯目。

ここに来てからまだ一時間も経っていない。

ひたすらお茶と飯だけの俺には羨ましいように思える。


 アリアが飲みながら色々と話してくれるので、それを聞いている感じだ。

しかし、三杯目辺りから徐々にテンションがおかしくなり始めている。


「それでだ、アキト。

 フレデリカが最近冷たいんだよー。

 それなりに長い付き合いだってのに。

 ガーティスも酒に付き合ってくれないしさー」


「に、ニックさんとかは誘わないんですか?」


「ニックはー……

 今忙しいんだ、なんか」


「な、なんか……」


 会話の途中に出てきたフレデリカという人物が誰だかわからない。

ガーティスもわからない。

何が『それで』なのかもわからない。

仕事をしていると色々とストレスが溜まるんだろう。

どこの世界でもそれは変わらないようだ。


「私も今年で二十三歳だよーもう。

 剣一筋で生きて来たけど他の事してないからなーんにもわからない

 部下とかどう接していいの……」


 六杯目の酒が飲み干され、七杯目が持ってこられる。

ウェイターは「いつもこんな感じなので」と笑っていたが、どうにも目は笑っていないように思える。

キリのいいところで引き上げなければ。


「なーアキトー。

 私って愛想ないかなー?

 ないんだよなー多分……」


「いやいや!、そんなことないですよ!」


「え!?

 本当か!?

 私、愛想あるか!?」


「嘘はつきませんって!」


「あー、だよなー。

 そんな感じだもんなー

 アキト、嘘つけない感じだもんなー」


 酒を飲んでぐでぐでしているアリアを見ていると、昼間の人格が嘘のように思う。

「次に死ぬって言ったら追加で走りこみだ!」なんて今のアリアは言わないはずだ。


「って、そろそろ時間やばいよな……」


「だいじょーぶだって。

 明日はもっときびしいやつするから覚悟しておけよー」


「アリアさん!

 マジでそろそろやばいですって!」


 飲んで飲んで飲みまくるアリアに付き合っている内に、夜はどんどん更けていく。

酔いどれ騎士とその弟子の長い夜が明けるのはいつになるのだろうか。

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