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彼女を牢獄から連れ出すこと。それは、それほど困難なことではなかった。
3人は、夜町を出発し、牢獄まで2時間ほど歩いた。
「これは仲間に作らせたんだ。」
モーリはそう言って、自慢気にポケットから1つの鍵を取り出した。
「ここの鍵穴の型をとって、手紙で送ったんだ。あいつらいい仕事をしてくれた。」
カチャリと音が鳴り、重い扉が開いた。
囚人たちのいる塔へ上った。相変わらず中はひどい有様だったが、モーリとレッドはわずかに顔をしかめただけだった。
少女は、ベッドにうつ伏せで横たわっていた。イツクたちがいることに気付いてはいたが、ただ、焦点の合わない目を見つめさせてくるばかりだった。レッドが彼女をむりやり袋に押し込んでも、抵抗さえしなかった。
「あと少し遅かったら、間に合わなかったかもしれん。」
モーリが少女を見ながら言った。
少女の入った袋を押し車に乗せ、3人は、夜明け前、何食わぬ顔で宿に戻った。