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イツクたちは、森の中をさまよっていた。

「あっ。」

後ろを歩いていたメグムが転んだ。

「大丈夫?」

イツクがメグムを起こし、雪をはらっていると、

「もう歩けん。」

と、メグムが弱音を吐いた。あても無く歩き続け、辺りはもう日が暮れようとしていた。

「私たち、どうしてこんな所にいると?家に帰りたかあ。お腹空いたあ。」

メグムはぽろぽろ泣き出した。

「ごめん、全部僕のせいや。ごめんな。」

「謝ったって何もならんやろ!」

突然、イトシが大声をあげた。

「こんなとこで死にとなかやろ。早く立てって!」

イトシは無理矢理メグムの腕を引っ張った。

「痛い!」

「おいやめろ!」

イトシはフン、と鼻を鳴らし、腕を離した。

「八つ当たりすんな。」

「俺ら、きっとここで獣のエサになるんだ。最悪。」

イトシの発言は無視して、イツクは明るい声でメグムに言った。

「じゃあ、おぶってやる。ほら。」

「私たち食べられちゃうの?」

メグムが肩に腕を回してきたが、その力は弱々しかった。

「分からん。そうならんようにせんと。」

勢いをつけ立ち上がると、重みがズシンと体に響く。

「メグムの荷物持ってくれんね。」

イトシに、努めて明るく言った。イトシは相変わらずむっつり顔だったが、素直にメグムの鞄を受け取った。

「どうせ死ぬんだから。」

イトシがぽそっと発した言葉を、イツクは聞こえなかったふりをした。


それからも、2人は歩き続けた。

歩いてきた方角には、もう夜闇が降りている。ここで一晩明かさなければならないのだろうか。イツクがそう思ったその時。

「あれ?」

「何?」

「あれ、明かりじゃない?」

イトシの指さす方を目をこらして見ると、確かに、ぽうっと、光が灯っていた。

「誰かいるのかも!」

2人は顔を見合わせ、全速力で走りだした。どんどん光が近付いていく。

森を抜けた。目の前に、大きなお屋敷が立ちはだかっている。いくつかの窓から、明かりがこぼれていた。

「やった…!」

2人は息を弾ませながらも、その表情には笑顔が浮かんでいた。

「まず、ここがどこか訊こう。」

玄関とおぼしき扉に近付き、呼び鈴を鳴らした。

すぐに、扉は開いた。……その瞬間、3人は屋敷の中に引っ張られた。

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