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第四話 「話が進みますねー……俺抜きで」

「てめぇ、舐めてんのか?」


 どうもどうもざっとではありますが成り行きを説明しました。予想通りの反応で困ります。


「だから言ったじゃないですか、夢みたいな話だって。俺だって信じらんないんですからね?」


「だからってんな話があるかよ。なんだ神様とか異世界とかよ。どっかの高位魔法使いが事故って転移されてきたって話なら信じてやってもいいがよ」


「そんなこと言われてもなぁ」


 ところでアリエルさんはなんで一言もしゃべらずに驚いたような表情をしてらっしゃるのでー?


「……神の一柱、アルフォード神」


 ん? なんぞ。


「あん? どうしたよアリエル。なんか思い当たる節でもあんのか?」


「かつてこの世界を創ったと言われる神の一柱です。今は知るものも少ない神話の話ですが……」


 あれ、あの神さんってそんなにすごい人だったのか。あれ、でも自分では下級神って言っていたような。いや、下級でも神はすごいってことかな。


「たった五柱で世界を創造したという話なのですが、その中でアルフォード神は“魔”を司る神であったと」


「だったらなんだ? こいつが言っている話は本当だってか? 馬鹿馬鹿しい」


「それはわかりません。とはいえ出鱈目を言っているようには聞こえませんでした」


「……たしかにな。こいつは嘘とは無縁そうなガキのようだし」


「とりあえずこのままここで話していても仕方がないでしょう。グランベアーも退治されているわけですし、村に引き上げませんか?」


「その意見には賛成だ。なんか精神的に疲れたしよ……」


「それではオトヤさん、あなたも村に案内しますよ。疲れているでしょう? しばらくこの森にいたようですし、まともなものも食べていないでしょうし」


「あ、はい。お願いします」


 なんか二人だけで話が進んでしまっていてついていけませんでした。ちなみにアリエルさん。小声で『グランベアーの手を食べようなんて普通は考えませんし』って言ったの聞こえたからね? 別にいいけど。



▼▼▼



 村は近かった。でもなんか寂れてるなぁ。まさに村って感じというか。


「じゃあオレは二人に報告してくる。アリエルは村長のとこにでも行ってくれ」


「わかりました。それではまた」


 村に着いてすぐにグランツさんはどっかに行ってしまった。むぅ。アリエルさん、結構美人な人だから二人きりだとちょっと緊張するなぁ。


「では村長へ挨拶に行きましょうか。あの森に行きついた旨は話してしまっても?」


「いいですよー。でも信じてもらえるかはわかりませんけど」


「それはみなさん変わりませんけど、知っている人がいればもし信じられる要素が出てきたときに納得しやすいですから」


 そんなものなのかね。というか信じられる要素って何だろ。神さんがこの地に降臨するとか? そりゃもうきっと信じるしかないんだろうけども。


「村長、ただいま戻りました」


「おぉアリエル殿。目撃情報との差異はどうでしたかな?」


「それについて説明させていただきたいことがございますので、この方を部屋に入れてもよろしいでしょうか?」


 あっという間に村長さん宅前。うーむ、村長さんの家も結構ボロいし、ここに来るまでにいた人たちの表情がやたらと暗かったのが気になるなぁ。


「おや、旅の方ですかな? もしやその方がグランベアーを討伐してくださった? おっと失礼いたしました、どうぞお入りください」


「あ、お邪魔します」


 んー、中は片付いてはいるけど外の通りボロさが目立つね。


「では村長、グランベアーなのですが、確かにあの森に出現していました」


「やはりそうでしたか。そしてそちらの方が討伐してくださったと」


「はい。彼……オトヤさんというのですが、凄まじい威力の魔法を使うようで、グランベアーさえも魔法で倒したほうです。死体も確認しましたし間違いないかと」


「なんと、確かに見た目は線の細い少年だと思っておりましたが、まさか魔法で……」


「えぇどうやら彼は普通の魔法使いではないようでして……」


 ……ん、と、さ。また俺抜きで二人だけでの話になってるけどいいの? 俺座って待っているだけなんだけど。いつの間にか俺が話した神さんの話とかになってるし。


「なんと、異世界人で神様にこちらに送られたとは。素晴らしい方でございましたか」


「え、信じるんですか今の話」


 ありえん。信じれる話じゃないよ。


「いえいえ、半信半疑ですとも。しかし過去の歴史の中でそういった話がないわけではないのですよ」


 実際にそういった人には会ったことはないし、物語の中の話だったりするわけだが……ありきたりな勇者の話とかで異世界からの使者として現れた人もいたらしい。


 別に俺はそうたいそうな存在じゃないんだけど。


「おぉそういえばオトヤ殿はこれからどうするので? 本日はここに泊って行ってもらってもいいのですが……この村にも余裕があるわけではありませんで」


 恥ずかしい話ですが、と村長さんは言う。うん、まぁ見た感じでだいたいわかってた。


「とりあえず街にでも行ってみようかなーと。いざとなったら森に戻っても頑張れば生きていけることはわかりましたし、気楽に行きますよ」


 嫌だけどね。


「そうですか……では質素ではありますが、夕飯はこちらで食べて行ってください。雨さえ降れば、もう少し今後に余裕ができそうなのですが……」


 おや、雨? 


 なんでもこの村は税を作物で街に納めているらしいのだが、ここ数年雨が少なく、作物がまともに育たないのだとか。


 昔はそんなことはなく、作物を育てるのにも最高の村だったらしい。


「おそらく神がお怒りなのでしょう。かつて、調子に乗った村人たちは神への感謝を忘れたと言います」


 なるほど、大変なんだな。しかし、雨、かー。


「この村で一番高い木がある場所に連れて行ってもらってもいいですか?」


「構いませんが……」


「ちょっと試してみたいことがあるので」


 村長さんはここに待機で、アリエルさんが案内してくれることになった。


 久しぶりだけど、ちゃんとできるかなー?

次回、チートを発揮する。

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