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第二話 「魔法スゲー」

「……むぅ。神さまめ」


 何もない空間から移動した先は森でした。せめて街とか村とかにしてよ……周りには木しかないじゃん。どうしろと?


「あれ、なんかポケットに入ってる」


 ちなみに俺の今の恰好は白いティーシャツにジーパンというすごくラフな格好です。どう考えても森にいる格好じゃないよね。それに別の世界って言っていたけど、これおもいっきりあっちの格好だぞ? まぁそれはいいや。


「んー、と。手紙?」


 なになに……


『いきなりそっちに送ってしまって申し訳ありません。時間がなかったもので説明もなしに送ってしまいました。そちらの世界は魔力が存在し、魔法使いが数多くいる世界です。貴方ももちろん魔法が使えるでしょう。魔法はいろいろあるのでご自分でいろいろ試してみるといいですよ。さて、貴方がそちらで生き残るための術ですが近くにカバンが落ちているかと思います。それをご確認ください。その中には少々のお金とある程度の食糧が入っています。少なくともそれで数日は生き残ることができるかと思いますので頑張ってください。では次に貴方の魔力について説明を――――』


「あれ?」


 書いてあった通り近くを探してみると深緑色のカバンが落ちていた。中を確認してみると銅色の硬貨と銀色の硬貨があった。え、これの説明ってないの? あと食料が入っているって言ったけど、ないよ?


「え? ちょっと、あれぇ?」


 もう一度手紙を見てみる。魔力についての説明を。この後が白紙。


「……どういうこと?」


 何があったかわかんないけど説明はほぼなし。お金はあるけど使える場所がどこだかわかんないし、その価値もわかんない。食べ物も水もない。


「あれ、これ詰んでない?」


 やっぱり神様恨むぞ。いや、もう様なんてつけたくないくらいだよ。



▼▼▼



 あれから十数日。結果からいえばどうにかなった。食べ物は気に実っている食べ物を食べてる。毒とかが怖かったんだけど死にそうなくらい腹が減っていたら意外と気にならなくなった。生きてるし無問題。


 水については魔法で。自分の魔力量がどのくらいかわかんないけど、いくら出しても疲れないので重宝してる。


「……まぁ、最初の時は出鱈目さに頭がいたくなったけど」


 水について、魔法でどうにかしようというのは結構すぐに思いついた。あっちでも水芸とかできたし。


 なので水を出してみたら……


「まさか目の前の木々をなぎ倒していくほど出てくるとは……」


 そう、出た量が異常だった。まるで津波のように出てきた。思わず制御も忘れてぽかんとしてしまった。そのあとは慌てて魔法を消したけど、木々は倒れてるし、ところどころに動物や魔物――狼っぽいやつ。なんか見た目と行動が狂暴だったから魔物って呼んでる――の死体が浮かんでいるし、思わず逃げ出したよ。


 そのあとは何度か狼っぽい魔物に襲われたけど火を出したり、水で流したり、風で切り刻んだり、岩で潰したりしているうちに襲ってこなくなった。


「んー……いくらなんでも簡単に殺しすぎなんだよなぁ。しかも殺した後とくに何も思わない」


 俺ってこんなに冷めている奴だったかなぁ? 動物は結構好きだったと思うんだけど。友達はあんまりいなかったけど。


「それにしてもそろそろ肉とか食べたい。狼っぽいやつの肉は食べようとしてみたけど筋っぽくて美味しくなかったし……」


 そもそも料理なんかできないし、調味料も何もないから焼いただけなんだけど。とても食べられた味じゃなかったから仕方なく木の実を食べ続けている毎日。


「米とか贅沢は言わない。パンとか贅沢は言わない。炭水化物系が食べたい……」


 どうしてもお腹が空くんだよ。木の実ばっかりだとさー。


 どうでもいいかもしれないけど、今の俺の恰好はボロボロのティーシャツに同じくボロボロのジーパン。そんでもって全然ボロくなっていないカバンとなっている。


 多分このカバンには魔法がかかってる。全然劣化しそうもないし、俺の魔法が当たってしまった時――事故だよ?――にも煤一つついてなかった。さすが神さん仕様ということか。


「さってとー。現実逃避やめー」


 うん。目の前に『グルルルルルルル……』と唸っている熊さんがいるんですよね。森の中で熊さんに出会ったー。うんやべぇ。


『グルラァァァ!』


「おわぁぁぁっ!」


 襲い掛かってきたぁっ! しかも何気に速いし! こいつも魔物に認定します!


 そんでもって魔法発射! 全力で撃つと周りの被害がひどいことになるので抑え目で火の玉を数個放つ。


『ガァッ!』


「え」


 さっきの熊さんの声、魔法を食らって驚いた声に聞こえた? 違うんですよ。


「かき消したぁ!?」


 この熊さん、吠えて魔法消しました! ちょ、まっ。死ぬ!?


「うわぁぁっ!」


 一時混乱。数秒後状況把握。


「あれぇ?」


 熊さんはこっちに攻撃を仕掛けてきてたはずだよね? なんか死んでるよー?


「えぇっと……胸のあたりに風穴があいてるね? そんでもって周りの木々は消滅しちゃってるレベルだね?」


 木々が消滅するレベルの魔法を使ったらしい。そのレベルで風穴が開いただけの熊さんに驚くべきなのか、助かったことに安堵するべきなのか。ちなみに無意識に使った魔法は多分風の大砲。吹き飛び方が多分風。


「まぁ助かってよかったことにしよっと。それにしてもこの森怖いなぁ。神さん絶対俺のこと殺す気だったよね?」


 考えてもわかんないので気にしないことにするけど。それはそれとして、熊さん。


「肉、だよねぇ」


 熊の手は珍味だと聞いたことがある。異世界の熊だけど大丈夫かな? とりあえず風の刃で手を切って持ってく。


「ちょっと離れたところで焼いてみようっと」


 美味しいといいなあ。

比較対象がいないのでわかりにくいですが、きっとチートですね。

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