第十一話 「冒険者ギルド」
お久しぶりです。
かなり短いです。
「すいません、登録をお願いしたいんですけど」
ギルドに到着してすぐに中に入って、受付っぽいところに来た。さっさと登録を済ませてしまおうっと。
「ご新規の方ですね。ではこちらの用紙に記入をお願いいたします。字が書けない場合にはこちらで代筆させていただきますが」
「あ、大丈夫です」
言葉はわかる。文字もわかるし字も書ける。いったいどういう理屈でこうなっているのかはわかんないけど、この辺りは神さんに感謝だよなー。
名前、出身地、戦い方、などなど……ってか出身地ってどこだか知らないんだけど。グランツたちと会った森? いやいや。それだったらあの村のほうが現実的……ってあの村の名前知らないじゃんか。
「あのー、出身地って書かなきゃダメだったりしますか?」
「いえ、秘密にしたい方もいらっしゃいますので、必須というわけではございません。可能であればでかまいませんよ」
「わかりましたー」
よし、じゃあそこは開けておこう。秘密にしたいわけじゃないけど、日本って書いてもどこだそれってなっちゃいそうだしね。
名前は普通に書いておけばいいし、戦い方は魔法使いだから当然魔法になる。よしっ。
「書けました」
「はい。お預かりいたします……おや」
ん? なんか受付さんが紙を見ていると不思議そうな顔をしてこっちを見始めた。何か不備でもあったんだろうか?
「あの、なにか……」
「あぁいえ……」
また黙ってしまった。そんでもって紙とこっちを交互に見たりしている。なんぞ。
「あなたは……兵士隊長のリーベルさんをご存知ですか?」
はい? またあの隊長になんかあるの? もうあれと関わるのは結構嫌なんだけどさ。散々な結果だったし。まぁこれから強くなってからなら戦うのもやぶさかじゃないんだけど、それは今後強くなれればの話だし。
「知ってますけど……それが何か?」
「……いえ、とりあえず先にランクの説明をさせていただきますが、下からFランク、E、D、C、B、A、Sランクとなっております。全世界には三人しかおりませんが例外的にSSランクというのも存在します。とはいえあくまで例外的なものですのでこちらはあまり気になさらなくても大丈夫かと思われます」
「はぁ……」
なんかいきなり説明が始まってしまった。というかSランクって、あの隊長とかそれじゃなかったっけ? なるほど出鱈目な戦闘能力だもんな。でもあれに勝てればSランクの力はあるってことになるのかね。
「ギルドへの登録が済みますとFランクからのスタートとなります。あとは依頼をこなしたり、依頼外の物でも魔物を討伐すればそれがギルドカードへと記録され、そのデータによってランクアップを行う形になります」
ほぅ。なんか試験とかあるわけじゃないんだ。でも依頼外でも上がる要素になるっていうのはどうなんだろう? まぁどっちでもいっか。
「……なるのですが」
「……? どうかしましたか?」
なんか戸惑っているというか、なんというか。なんか手元の書類とこっちをちらちらと見比べている。なんなんだろうか。
「……あの、ですね」
「はい?」
「あなたはリーベル兵士隊長の推薦によりCランクからのスタートになります……」
「……はい?」
なぜそうなった。
「いえ、驚くのも無理はありません。あのリーベル兵士隊長が冒険者に対してプラスになることをすること自体信じられませんし……」
いや、あの人はいったい普段何をしているんだ。やっぱりあの人たちは問題ありすぎるんじゃないだろうか。
「そもそもギルドがそれを認めるということも今までほとんど例がありません。こちらはほとんど、なので、全くないわけではありませんが」
そういう問題ではないような気がするんですけど。いいの? いきなり真ん中くらいになっちゃうわけだよ? 俺何も知らないからむしろ困るんだけど……
「というわけなのであなたは今日から冒険者で、Cランクです」
いやいやいや、というわけ、じゃないよね?
「さて、説明の続きなのですが……」
「おう。ちょっと待ってくんねぇか?」
んむ? 今度はなんだ。なんか馬鹿でかい斧を背負っている大男が話しかけてきたっぽい。でかいなこの人。2メートル以上あるんじゃないだろうか。斧も俺よりでかいんじゃないだろうか。
「……ガルドさん。どうかなさいましたか?」
「どうかなさいましたか、じゃなくてよ。おかしいだろ。Cランクからなんて話はよ」
おー。当事者の俺もそう思うぜー。
「ですが、これはギルドも認めている話で……」
「だから、なんでギルドが認めてるんだっていう話だろうに。だいたいこいつだけ特別扱いじゃ他の頑張ってランクを上げようとしている連中に対して不公平すぎるだろうが」
そうだよなー。不公平だよなー。で、ランクが高い利点って何? いまいちわからないんだけど。説明ないしなぁ。
それにしてもいつも自分を置き去りにして話が進むなぁ。
話に参加できないのでぼーっと待っていると二人の言い争い……お話も終わったらしい。で、大男さんがこっちを向く。顔も強面だ。スキンヘッドだし。武器も武器だから凶悪だ。グランベアーに比べるとプレッシャーは別に大したことないかもしれないけど。
「おい。ちょっと付き合え」
「え? はぁ……」
一言だけ言って歩いて行ってしまった。え、どこいくの?
「あの、すいません……あの人はガルドさんと言いまして、もうすぐBランクと言われている現在Cランクのベテラン冒険者です。あまりパーティーを組む方ではなく、その実力は確かです。何があるかわかりませんので、気を付けてください」
「はぁ……わかりました」
何に気を付ければいいんだろうか。また戦いになるってことなんだろうか? なんかあんまり順調にいかないなぁ。ま、待たせるといけないから追いかけよっと。
面倒なことになりませんように。