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第一話 「え、俺死んだの?」

「あれ?」


 目が覚めたら見知らぬ場所にいた。というか何もない空間だった。


「どこだここ。んー……夢か」


 解決した。夢なら仕方ない。どうやったら醒めるか知らないけど待ってれば大丈夫だろうか。


「いや、夢じゃないんですけどね?」


「むぅ?」


 ぼーっとしていたらいつの間にかイケメンさんが目の前にいた。さすが夢、突然現れたりするのか。すごい。


「どなたですか?」


 夢の中なのに聞いても大して意味はないだろうけどとりあえず聞いてみる。コミュニケーションは大切だからね。


「えーとですね。まず重要なことなんですけど、これは夢ではありません」


 いや、夢じゃないとか言われてもなぁ。周りにはなんにもなくって、目の前にはイケメンさんがいるだけ。どう見ても夢だよねぇ?


 それにどなた? って聞いてその返答はおかしいと思うんだけど。もう一度聞いてみよう。


「どなたですか?」


「……下級神のアルフォードです。話を続けてもいいですか?」


 神様だって。ますます夢としか思えない展開です。下級ということは中級とか上級とかもいるんだろうか? とりあえず話を進めたいみたいなので、どうぞと言っておく。


「……ふぅ。では続けます。今の現状は夢ではなく、貴方は死んでしまいました」


「はい?」


 夢ではなく、死んでしまったらしいですよ。じゃあ今いる俺ってなんなんでしょうか? 昨日まで割と元気に学校に通ってましたけど。確かに最近は体調を崩すこともちょいちょいあったけどそれじゃ死なないでしょ。


ヒイラギ 音也オトヤさん。貴方は“魔法”使えた。これは確かですよね?」


 あれー、疑問点を伝える前に話が進んでるぞー? まぁいいや。それに魔法ねぇ。


「使えましたけど……手品みたいなものでしたよ? 水芸とかコップのなかにコインを入れるとか。種も仕掛けもないスペシャルな手品でしたけど」


 不思議な力だったよなー。そういったことが簡単にできるんだから。とはいえまだ高校生だったし、とくに目立ちたいわけじゃなかったから誰かに伝えたりはしなかったけど。一番すごかったのは体育祭が面倒だったときに雨を降らしたことかな? その翌日高熱を出して倒れたけど。


「それ、普通ありえないんですよ。貴方がいた“世界”には魔力が存在していないので」


「でも俺にはできましたよ?」


 できたものは仕方ない。ありえないなんてことはありえないんだよ。


「えぇ。できてしまっていた。それはおかしいとこちらでも調べてみたのですが、どうやら貴方は生まれてくる世界を間違えてしまったようなんですよ」


 さて、もはや意味がわからなくなってきたぞ。ここは夢でなく、俺は死んでいる。それ以前にそもそも生まれる世界を間違えていた。どういうことですか。


「これはとても不味いことでね。世界のバランスを保つためにも正しい世界へと存在していないといけない。とはいえ一度生まれてしまった命を移動させることは困難。なので死んでしまってからその魂を移動させるんです。だから貴方が死んでしまった今、私はここに現れました」


 もはや意味不明。死んだってことは変わらないわけか。昨日までは元気だったんですよー。生きてますよー。そう言いたいんだけど。


「そしてこれから貴方が本来生まれるはずだった世界へと飛ばします。とはいえ今までの人生は否定できないものなので、身体はそのままです。さらに言えば肉親は存在しません。申し訳ないのですが一人で生きていただくことになります」


 えー……ただの子供に一人で生きろっていうのは無理じゃないですか? まぁただの、っていうのはちょっと違うかもしれないけどさ。


「ではさっそく行ってもらいます。最低限の金銭などは着いた時に手にあるようにしておきます。ここで説明しておきたいところですが、もう時間があまりありません。それでは行ってらっしゃいませ」


「え、ちょ、いきなり!?」


 足元が光ったと思ったら意識が失われてきた。恨むぞ下級神とやらー……


▼▼▼


「ふぅ、行きましたか。あまり時間を置くと魂が薄れてしまうからといっても突然飛ばしてしまったのは申し訳なかったですね」


 生まれる世界を間違ってしまった少年。魔力を持ち、魔法を使える存在だったが、世界に魔力がなかった。


 それ故に使ってしまった魔力は回復せずに、使わないでいても少しずつ枯渇していく。魔力が著しく減少すると身体に異常をきたし、衰弱していく。そして魔力が完全に尽きた場合、死に至る。


「それでも十数年生きてきていた、か」


 それは異常なことだ。少年は手品と言っていたが、本来存在しない魔法が存在しない世界でそれを使うことによる魔力の消費は計り知れない。


 さらに、一度だけではあるが天候を変えるということまでやってみせていた。あちらの世界でもそこまで大きく自然に干渉することは容易でないし、できたとしても魔力の消費量は多い。


「それでも尽きずに生き続けていた。とんでもない魔力量ですね。そんな人が正しい世界に行った場合……どのくらいの強さになるのか想像もつきませんね」


 場合によっては下級神である私もよりも上の力を持つことになるかもしれない。とはいえあの少年の性格を考えるに問題はなさそうですけれども。


「それに強さは魔力だけで決まるわけではありませんしね。とはいえ、どうなることやら」


 下級とはいえ、神ですからあまり干渉はできませんが、少し楽しみですね。


「また、機会がありましたら会いましょうか。音也さん」

チートになっていくのは今後になります。

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