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時過ぎても、想いは変わらず  作者: 美緒
第五章 静寂の始動
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Ⅸ ビューの過去Ⅲ とフォルテ

 また同じ事件が起こり、犯人の思惑でその場に居合わせてしまった自分は境地に陥ることになったのだが、陛下は自分を少しも疑うことはせず最後まで信じてくれ、そんな男のためにならと協力要請され事件の黒幕を追い詰めるのに協力をした。


 そのことによって、騎士団や町の住民にも信頼されるようになり、事件解決後まだ幼い自分を騎士団にスカウトする陛下の言葉に一度は断るもののそのまま押し通され、今の地位を築き上げていった。


 その後、自分を信じてくれた人物がこの国の王太子と知って腰を抜かしそうになったが、いまでは笑い種となっている。


 ストリート・チルドレンとして厄介者としかみられていなかった人間も信じ、不敬罪で処刑されてもおかしくはない状態であったのに笑い飛ばしてくれた心意気のある次期国王に忠誠を誓った。


 その後、王太子妃となり――現王妃となる人物も王城内でやっかみをかう己に対し、陛下と同じ様に接してくれた。

 その後、王太子は国王へとなり、王妃との子を授かるにいたった際、国王だけでなく国王と王妃、そしてその二人の大切な子息を守りたいと思いなおした。

 国王に国王およびその親族である王族に対し忠誠を誓うことに許しを貰い、その場で宣言した。


 ただ従うだけでなく、道を踏み外しそうになった時は己の命をなげうったとしても道を踏み外さないように進言し、力が必要な時は己の出来うる限りで答えようと心にとめ、騎士として守れるように力と人脈を築き上げていった。


 しばらくすると力を認められ、隊長の席を任命されたのち身分だけでなく実力のあるものに未来を託したいと思い実力主義の隊を作り上げていく。

 実際ビューの率いる第七騎士団は実力のある者が大半であり、階級についても無頓着な者が多い。

 特に隊長であるバルーゼを慕い目標としている者が多いのも特徴だ。


   ** *



 少しばかり恥ずかしい昔話を繰り出し、自分が忠誠を誓うようになった経緯を話し終えたビューは自分の主の一人でもある人物に目線をしっかりと合わせて懇願した。


「ようやくご自分のされたいことが出来るようになった喜びもありましょう。

 兄上であるフリューテル様の無事が確証された今こそと思われるのも分かりますが、今回は先が全く見えません。

 先方がどのような手を使ってくるのかさえ、いきなり現れたレイ殿がいるからこそ未然に防ぐことが出来ている状態です。

 開戦までひと月も猶予があるかどうかさえ分からない今、ご自身の御身だけはどうかお守りください。

 不甲斐ないお言葉しか言えず申し訳ありません」


 しっかり目線を合わせ、現状を分かってもらえるようにビューは語りかけた。

 最後には自分が守ると言えない立場にあることを恥じるように視線を下げた。

 フォルテはビューの過去を聞いている間に頭が冷えて冷静さを取り戻していた。

 それと同時にこんなにも王族である自分達を思ってくれている人物がいることに再度気付かされた。


 父や母、王位継承権を持つ何でもできる兄を想う者は分かる。

 しかし、自分の事まで思ってくれる者はどれだけいようか。

 まだ完全に納得できたわけではない。

 だが、ここで意地を張っても仕方がないことも分かっている。

 さらに自分が意地を張ることによって命を落とす者が増えてしまうことに気付いたフォルテは、その幼い年齢の中に王族である風格を見せた。


 きっと口を引き結び、彼を呼ぶ。


「ヴィベルア隊長」


 視線を下げていたビューはハッとしたように即座に頭を上げ、己を呼んだ人物を見上げた。


「ありがとうございます。少し頭が冷えました」


 そう言って少し悲しそうに微笑む。


「僕が意地を通すことはできますが、それによって誰かが命を落とすことになっては、僕がしたいことと逆の事になってしまう。

 こんな僕にまで忠誠を誓ってくれているのに驚きました。


 だから、僕のできる範囲の事をしたいと思います。力を貸していただけますか?」


 いままで頼りなかった末の王子の見せた新しい表情だった。

 その表情を眩しそうに見つめ、


「はい、私のできる範囲でご助力いたします」


 そういい、ビューは自分の忠誠を誓った王家の一人である王子に騎士である礼を取った。


 今回の出来事で多くの人間が成長することになるだろう。


 その証として末の王子であるフォルテを筆頭として――


お久しぶりでございます。

長い間更新できず申し訳ありません。

久しぶりに文章を書いたら意味が分からなくなっていきました。。。

直してもうまくまとまらないので、取りあえず更新いたします。


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